【経営情報システム】補助記憶装置とは?用途や種類など試験で問われるポイントを解説

中小企業診断士の一次試験科目、経営情報システムの序盤に、「補助記憶装置」が登場します。

「補助記憶装置」は、システムが機能するために必要なプログラムやデータを保存しておく装置であり、システムが機能する上で欠かせない重要なものです。

しかし、中小企業診断士試験では、様々な種類の補助記憶装置の機能や違いについて、専門的な内容も問われることがあり、ITに触れたことがないとスムーズに暗記することが難しいことも事実です。

この記事では、補助記憶装置の特徴や種類など、経営情報システム試験で出題されるポイントについて解説しています。

「補助記憶装置」に関する問題は、確かに覚えることも多く専門度も高いですが、その役割と種類をマスターすれば得点源にすることも可能な分野です。

中小企業診断士試験に最短で合格できるよう、試験対策に必要な箇所の絞って解説しています。

この記事でわかること
  • そもそも「補助記憶装置」とは
  • 補助記憶装置が果たす役割・特徴
  • 中小企業診断士試験に登場する補助記憶装置の種類
  • 補助記憶装置に関する過去問と解説
目次

補助記憶装置とは

「補助記憶装置」とは、システムが機能するために必要なプログラムやデータを長期的に保存するための記憶装置です。

コンピュータが機能するプロセスでは、処理を実行する「CPU」、CPUが処理を実行する際に一時的にデータを保存する「主記憶装置」、主記憶装置に一時的に保存するデータを保管しておく「補助記憶装置」の3つの装置がそれぞれ役割を持っています。

CPU:処理を実行するコンピュータの頭脳
主記憶装置:CPUが処理を実行する際に、一時的にデータを保存して高速処理を行う。
補助記憶装置:大容量のデータを長期的に保存しておく

コンピュータが処理を実行する際には、膨大な量のデータ・プログラムが必要です。

本来ならば、これらのデータは比較的高速な処理ができる主記憶装置に格納しておきたいところですが、主記憶装置の容量にすべてのデータを格納することはできません。

そこで、補助記憶装置にコンピュータが処理するプログラムやデータを大量に保存しておき、必要な時に主記憶装置へとデータを渡すことで大量の情報が格納できるようになります。

補助記憶装置は、大量のデータやプログラムを長期的に保存することで、CPU・主記憶装置を補助する役割を持っています。

補助記憶装置の特徴

補助記憶装置は、コンピュータが処理を実行するために必要な大量のデータを長期的に保存しなければなりません。

このような役割を持つ補助記憶装置には、以下のような特徴があります。

大量のデータ保存ができる大容量

当然ですが、補助記憶装置は他の記憶装置と比較して大容量です。

もし主記憶装置にすべてのデータを格納できるのであれば、補助記憶装置が無くてもコンピュータが機能するために必要なデータが格納できてしまいます。

主記憶装置が格納しきれないデータを保存することが役割ですので、大量のデータ格納に特化した大容量の装置であることが特徴です。

不揮発性のメモリである

補助記憶装置は、「不揮発性メモリ」であり電源がOFFになってもデータが失われないことも特徴です。

記憶装置などのメモリには、外部からの電力供給が無くなるとデータを失ってしまう「揮発性メモリ」と、電力供給がなくなってもデータを失うことの無い「不揮発性メモリ」の二種類が存在します。

種類特徴速度容量コスト
揮発性メモリ電源が切れるとデータが失われる速い少ない高い
不揮発性メモリ電源が切れてもデータを保持する遅い多い安い

上述した通り、補助記憶装置の役割は、長期的にたくさんのデータを保存しておき、必要な時に主記憶装置へとデータを引き渡すことです。

そのため、補助記憶装置は多くのデータを保存できることに加え、電源が切れてもデータを長期的に保存できる不揮発性メモリが適しています。

読み込み速度は遅い

補助記憶装置は、大量のデータを保存できる一方、読み込み速度は比較的遅いことも特徴です。

実際にデータの処理に関わるのはCPUや主記憶装置であり、データを引き渡すことが役割である補助記憶装置は、読み込み速度はそこまで重視されません。

とにかく大量にデータを保持し続けて、主記憶装置に高速な読み書きを任せることで、結果としてコストを抑えつつコンピュータの性能を落とすことなく処理を行うことができるのです。

補助記憶装置の特徴
  • 大容量な媒体が用いられ、多くのデータ・プログラムを保存できる。
  • 電源を切ってもデータが失われない「不揮発性メモリ」である。
  • データの保存に特化しており、読み込み速度は遅い。

補助記憶装置の種類

補助記憶装置には様々な種類があり、それぞれ特徴を持っています。

ここでは、中小企業診断士試験で出題される可能性のある補助記憶装置の種類と特徴についてお話しします。

経営情報システムでは、それぞれの補助記憶装置の名称や特徴、メリット・デメリットが問われることがありますので、試験対策に必要な知識に絞って解説していきます。

ハードディスクドライブ(HDD)

「ハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)」とは、磁気ディスクの一種で、大容量のデータを保存できる安価で一般的な補助記憶装置の1つです。

↑ハードディスクドライブ(HDD)のイメージ

HDDがデータを読み込む仕組みは、ハードディスクと呼ばれる磁性体を塗布した円盤状の記憶媒体に大量のデータを保存し、これをディスクが高速回転し磁気ヘッドを読み込むことでデータを読み込みます。

ハードディスクドライブ(HDD)は、厳密にいえば、データを記憶しておく「ハードディスク」と、データを読み込む「ディスク」に分かれており、これらをセットにした呼び名です。

ハードディスクドライブを補助記憶装置として用いる際には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

ハードディスクドライブ(HDD)のメリット
・半導体メモリなどに比べて安価である
・数TB以上の大容量のデータを保存できる

ハードディスクドライブ(HDD)を用いるメリットには、ディスクに大量のデータを保存できることに加え、半導体などを使わないため安価に用いることができます。

ハードディスクドライブ(HDD)のデメリット
・半導体メモリなどに比べて読み込み速度が遅い
・物理的な衝撃に弱い
・消費電力が高い

ハードディスクドライブ(HDD)を用いるデメリットには、円盤を回転させて物理的に情報を読み込むため、電気的に読み込む半導体メモリ等に比べて処理速度は遅くなることが挙げられます。

また、ディスクに対する振動や衝撃に弱く、消費電力も高いため買い替えや継続使用で結果としてコストが高くなることもあります。

とにかく大量のデータを保存したいときや、なるべく初期投資を抑えたいときなどは、ハードディスクドライブが適しているでしょう。

ソリッドステートドライブ(SSD)

「ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)」とは、記憶媒体にフラッシュメモリを用い、HDDよりも高速な処理ができる補助記憶装置です。

↑ソリッドステートドライブ(SSD)のイメージ

ハードディスクドライブ(HDD)は、記憶媒体にハードディスクを用いていました。

一方で、ソリッドステートドライブ(SSD)では、記憶媒体にフラッシュメモリを用いている点が異なっています。

記憶媒体でフラッシュメモリを用いるソリッドステートドライブ(SSD)を補助記憶装置として採用すると、以下のようなメリット・デメリットがあります。

ソリッドステートドライブ(SSD)のメリット
・ハードディスクドライブ(HDD)よりも高速処理が可能
・耐久性が高く、消費電力も少ない

フラッシュメモリを用いることで、ハードディスクドライブ(HDD)が抱えていたデメリットである処理速度の遅さ・耐久性を克服できることがメリットです。

ソリッドステートドライブ(SSD)のデメリット
・HDDと比較して容量が制限される
・半導体メモリが高価格

様々なメリットがある一方、高性能なフラッシュメモリを搭載するためには、初期導入にコストがかかることなどのデメリットもあります。

ハードディスクドライブ(HDD)とソリッドステートドライブ(SSD)にはそれぞれ強みがあるため、場面に応じて使い分けることと良いですね。

SDカード・メモリスティック

「SDカード・メモリスティック」とは、記憶媒体にフラッシュメモリを用い、コンパクトで高速な処理ができる補助記憶装置です。

↑SDカードのイメージ

ゲーム機やスマートフォンにも搭載されているため、馴染みのある方も多いのではないでしょうか。

ソリッドステートドライブ(SDD)と同様、記憶媒体にフラッシュメモリを用いているため高速な処理が可能です。

また、小型化が進んでいて利便性が高く、容量も用途に合わせて選択することができることも魅力的です。

中小企業診断士試験では、「フラッシュメモリ」や「小型化」がキーワードになって出題されることが多いです。

NAS

「NAS(Network Attached Storage)」とは、ネットワークに接続することができる補助記憶装置のことを指します。

一般的なハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)は、USBケーブルなどを用いて接続するため、一台の機器からしかアクセスできません。

一方で、「NAS」は同じネットワークに接続されている複数の機器と同時に接続することができます。

ネットワークを通じて複数の機器が同時できるため、職場や家庭などで一斉に同じデータへとアクセスできるようになり、仕事効率を一気に高めることが魅力的です。

NASのデメリットとしては、機器自体が大きく持ち運びには不向きであり、HDDよりも高価であることが挙げられます。

多くの人が集まって作業をする職場などでは、一台設置してあると非常に便利なのがNASの強みですね。

SAN

「SAN(Storage Area Network)」とは、NASと複数の機器を接続するために構築された専用のネットワークのことです。

NASでは、ネットワークを活用することで複数機器が同時に記憶装置へとアクセスできるものでしたね。

このとき、NASが使うことになるネットワークは、記憶装置へのアクセスを要求していない機器とも繋がっている状態です。

これだと、記憶装置へのアクセスを要求していない媒体にとっては、処理速度が遅くなったり負荷が無駄に大きくなるなど悪影響を受けてしまいます。

そこで、NASが独自に専用のネットワークを構築しておくことで、データへのアクセスを求める機器のみがアクセスできるようにネットワークを構築しておきます。この専用ネットワークが「SAN」です。

SAN自体はネットワークのことを指しており、補助記憶装置ではありません。しかし中小企業診断士試験では、補助記憶装置であるNASを運用していく上で欠かせないものとしてセットで覚えておくと良いでしょう。

専用のネットワークが構築されることにより、データへのアクセスを求める機器・関係のない機器の両者が、負荷を与えあうことなく高速なやり取りができるようになります。

光ディスクドライブ(BD・DVD)

「光ディスクドライブ」とは、CD・DVDなどの「光ディスク」と、それらを読み書き・読み込みを行うドライブのことです。

まず、CDやDVD、BD(ブルーレイディスク)は、「光ディスク」と呼ばれる記憶装置です。

音楽や映像などのデータが保存されており、日常生活でも使う場面の多い記憶装置ですね。

そして、この光ディスクは、読み書きの可否や回数によって種類が分かれています。

種類書き込み(上限)書き換え(上限)
DVD-ROM××
DVD-RAM○(10万回)
DVD-R○(1回)×
DVD-RW○(1,000回)
BD-ROM××
BD-R○(1回)×
BD-RE○(1,000回)

中小企業診断士試験では、それぞれの光ディスクの「読み込み・書き換えの可否」を覚える必要があります。

少し厄介ですが、それぞれの種類の特徴を示すこの表を覚えてしまえば問題ありません。

覚え方のコツ
・「ROM」と来たら、書き込みも書き換えもできない。
・「RAM」と来たら、書き込みも書き換えもできる。
・「○○-R」と来たら、一度だけ書き込みができる。(ROMの進化系)
・「-RW」や「-RE」と来たら、書き込みも書き換えもできる。(RAMの進化系)

私がオススメする覚え方のコツとしては、「ROM」と「○○-R」をセットに、「RAM」と「○○-RW・RE」をセットに覚える方法です。

まず「ROM」は、本来「読み込み専用」ですので、何かを書き込んだりすることはできません。

そして、「○○-R」はROMの進化系ですので、一度だけ書き込みができるようになったと覚えましょう。

最後に「RAM」は、本来「読み書き自由」に行えるため、書き込みも書き換えも自由に行うことができます。

単純な暗記は少し厄介ですが、この論点についてはこの表だけ覚えていれば得点できます。是非これを機に覚えてしまいましょう。

過去問と解説

ここでは、補助記憶装置に関する過去問と解説を紹介します。

令和2年度 第2問

令和2年度 第2問

レーザ光を利用してデータの読み書きを行う記憶媒体にはさまざまな種類があり、それぞれの特徴を理解する必要がある。記憶媒体に関する記述として、最も適切なものはどれか。【引用】中小企業診断士試験問題 (j-smeca.jp)

ア BD-ROMは、データを未記録部分へ繰り返し追記することができる。
イ BD-Rは、読み出し専用である。
ウ DVD-RAMは、データを一度だけ書き換えることができる。
エ DVD-RWは、データを繰り返し書き換えることができる。

↓答えを決めてからスクロールして解答をチェック!↓

解答解説

ア:適切ではない
BD-ROMは、データを未記録部分へ繰り返し追記することができる。

➤➤「BD-ROM」に関する問題です。ROMとは、Read Only Memory(読み取り専用)ですので、データを追記することはできません。

B:適切ではない
BD-Rは、読み出し専用である。

➤➤「BD-R」に関する問題です。「○○-R」とは、ROMの進化系であり、1度だけ書き込みができるようになったものでした。つまり、1度は書き込みができるため「読み出し専用」ではありません。

C:適切ではない
DVD-RAMは、データを一度だけ書き換えることができる。

➤➤「RAM」は、繰り返しデータの書き込み・書き換えを行うことができるため、「一度だけ」という記載が間違っています。「○○-RW・RE」は、RAMよりも書き換えできる回数が増えた、RAMの進化系と覚えておきましょう。

C:適切である
DVD-RWは、データを繰り返し書き換えることができる。

➤➤「DVD-RW」は、DVD-RAM以上に書き換え可能な回数が増えており、データをくり返し書き換えることができるため正解です。

まとめ

当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今回は、中小企業診断士の一次試験科目のひとつである経営情報システムに登場する「補助記憶装置」について、その特徴や種類の中でも試験で出題される可能性の高い論点を解説しました。

経営情報システムの難しさは、出題される用語の専門性が高く、かつアルファベットや横文字が多く暗記が進みにくいことでしょう。

しかし、補助記憶装置に関しては、主記憶装置との役割の違いや種類・特徴について押さえておけば、そこまで難解な問題は出題されません。

今回の記事でお話しした内容を中心に学習を進めていくことで、受験を志す方々の得点が少しでも伸びるお役立ちができれば幸いでございます。

他にも中小企業診断士に最短合格するために役立つ記事を発信していますので、お時間のある際に是非チェックしてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次