【最短合格】中小企業診断士「企業経営理論」の勉強法・コツ|厄介な選択肢を攻略するポイント

「企業経営理論」は、中小企業診断士・一次試験で出題される科目のひとつです。

この「企業経営理論」の内容は、中小企業診断士として活動する上で欠かせない、経営に関する知識が中心であり、全7科目の中でも学習の重要度が高い科目となっています。

しかし、経営に関する内容は抽象度も高く、覚えなければならない知識量が多いため、一筋縄で合格できる科目ではないことも事実です。

そこで、この記事では、「企業経営理論」で最短合格を勝ち取るために、合格のポイントと具体的な勉強方法をお話しします。

結論、企業経営理論の学習を進めるうえで最も重要なのは、長文で複雑な「選択肢」を攻略することだと言えます。

中小企業診断士の一次試験では、難易度の高い全7科目を攻略しなければなりませんが、それぞれの科目には特徴があり、勉強の攻略法も変わってきます。

そして企業経営理論にも、選択肢の構成や出題内容に特徴があり、正しい攻略法を意識して学習を進めることが最短合格に繋がります。

この記事を読めば、企業経営理論の試験の特徴を知り、学習を進めるうえで意識するべきこと、具体的な勉強方法が理解できるため、是非チェックしてくださいね。

この記事でわかること
  • 企業経営理論の概要(出題範囲・難易度・合格率・二次試験との関連性など)
  • 企業経営理論の合格が難しい理由
  • 実際に勉強・受験して感じたこと
  • 最短合格のために意識すべき学習ポイント
  • 私が実践した具体的な勉強方法
目次

企業経営理論の概要

まずは、「企業経営理論」の試験概要についてお話しします。

どのような資格試験を受験する際にも、試験の概要を知っておくことは非常に重要ですので、まずはしっかりとチェックしておきましょう。

科目設置の目的

中小企業診断士試験の申し込み案内には、各科目の設置目的が公開されています。

(科目設置の目的)

企業経営において、資金面以外の経営に関する基本的な理論を習得することは、経営に関する現状分析及び問題解決、新たな事業への展開等に関する助言を行うにあたり、必要不可欠な知識である。また、近年、技術 と経営の双方を理解し、高い技術力を経済的価値に転換する技術経営(MOT)の重要性が高まっており、こうした知識についても充分な理解が必要である。このため、経営戦略論、組織論、マーケティング論といった企業経営に関する知識について、以下の内容を中心に判定する。

企業経営理論の設置目的については、「資金面以外の経営に関する基本的な理論を習得」し、「経営に関する現状分析及び 問題解決、新たな事業への展開等に関する助言を行う」ことが目的と言えます。

当たり前ですが、経営コンサルタントとして活動していくには、経営に関する知識が身に付いていることは必要不可欠ですね。

中小企業診断士として、様々な中小企業が抱える経営課題に助言が行えるよう、基礎となる知識を幅広く身に付けることが求められます。

さらに、「技術経営(MOT)」についての重要性についての記載があるため、IT(情報技術)に関する問題は出題可能性が高いと考えられるため、注意しておく必要がありそうです。

出題範囲

企業経営理論の出題範囲は、①経営戦略論②組織論③マーケティング論の3つから構成されています。

それぞれの出題範囲・内容について見てみましょう。

1.経営戦略論
  • 戦略の考え方
  • 企業戦略
  • 競争戦略
  • 技術経営(MOT)
  • 国際経営戦略
  • 企業の社会的責任
  • ファミリービジネスの戦略
  • その他経営戦略論に関する事項

「① 経営戦略論」では、経営戦略を立案する上で必要となるフレームワークや考え方を学習します。

経営戦略を立案するには、企業が置かれている外部・内部の環境を分析し、そのうえで行うべき事業内容を決定し、継続的に利益を生み出すことのできる方法を考える必要があります。

例えば、環境分析であれば「SWOT分析」を、事業内容の決定には「5フォース分析」や「ドメイン・PPM」などのフレームワークを用いることができます。

このように、経営の幹となる経営戦略について、そのフレームワークを知識として理解した上で、実際の企業に対して助言を行うことを見据えた学習を進めることが「① 経営戦略論」のポイントになります。

2.組織論
  • 組織の考え方
  • 組織構造の形態
  • 組織文化
  • 組織における個人
  • 組織の中の人間関係・集団
  • 組織間関係
  • 組織変革と組織成長
  • 人的資源管理
  • その他組織論に関する事項

「②組織論」では、組織の在り方・組織メンバーを人材として活用するための施策や制度についてを学習します。

「②組織論」は、大きく⑴ 組織構造論・⑵ 人的資源管理・⑶ 人的資源管理の3つの内容に分かれています。

⑴ 組織構造論では、機能別組織や事業部制組織の違いやそれぞれのメリットなど、組織の在り方・形を学習します。

⑵ 組織行動論は、モチベーションやリーダーシップなど、組織のメンバーが能動的に行動するためには何が必要かを学習するものです。

⑶ 人的資源管理では、企業のリソースである人材を管理するための制度として、評価制度や報酬制度などの在り方を学習します。

このように、組織の在り方からメンバーの動機づけまで、企業が人材を活用するための施策や制度を包括的に学習することが「②組織論」になります。

3.マーケティング論
  • マーケティングの基礎概念
  • マーケティング計画とマーケティング戦略
  • マーケティング・リサーチ
  • 各分野に展開したマーケティング
  • プロダクト・マネジメント
  • ブランディング
  • 消費者行動
  • プライシング
  • コミュニケーション
  • プロモーション
  • 流通チャネル
  • その他マーケティング論に関する事項

「③マーケティング論」では、マーケティングの基本的な考え方から、具体的なマーケティング施策を学習します。

マーケティングを効果的に行うためには、十分なリサーチを行ったうえでターゲティングを行い、ターゲットの心を掴むために様々な手段を用いて訴求しなければなりません。

例えば、商品のラインナップから価格の設定、ブランドの打ち出し方やSNSを用いた広告など、一概にマーケティングと言っても考えるべき点は様々です。

「③マーケティング論」では、マーケティングに関する様々な施策を知識として学び、企業の展開する商品・サービスに合わせたマーケティング戦略を助言する基礎力を磨く科目と言えるでしょう。

試験時間や配点

企業経営理論の試験時間は90分、配点は100点/700点です。

日程科目配点試験時間
1日目経済学・経済政策100点60分
財務・会計100点60分
企業経営理論100点90分
運営管理(オペレーション・マネジメント)100点90分
2日目経営法務100点60分
経営情報システム100点60分
中小企業経営・政策100点90分
r06_1ji_annai.pdf (j-smeca.jp) 令和6年度中小企業診断士 第1次試験案内・申込書

問題数については、企業経営理論では約40問が出題されます。

そして、問題によって配点が異なっており、1問あたり2点or3点の問題があることが特徴的です。

いかに配点の高い3点問題を得点できるかが、全体の得点率に大きな影響を与えます。

合格率の推移

企業経営理論の、過去18年間の合格率の平均は16.9%です。

中小企業診断士資格取得を目指す方に中小企業診断士試験のご案内です (j-smeca.jp)を元に作成

過去18年間の平均合格率は、一次試験の全7科目の中でもトップクラスに低い難関科目となっています。

さらに、グラフを見るとわかる通り、年度によって合格率がかなり変動していることが分かります。

試験の中でも重要度の高い内容と、低い合格率を踏まえると、全7科目の中でも優先的に対策時間を確保するべき科目と言えるでしょう。

参考:全7科目の平均合格率(過去18年間)

  • 企業経営理論:16.9%
  • 財務・会計:14.3%
  • 運営管理:17.4%
  • 経済学・経済政策:18.7%
  • 経営法務:14.9%
  • 経営情報システム:19.9%
  • 中小企業経営・政策:16.7%

目安となる勉強時間

大手予備校や受験者の意見を聞くと、約150時間の勉強が必要になると言われています。

他の科目の目安となる勉強時間が約100時間程度ですので、他の科目よりも対策に時間を要する科目となります。

具体例として、私の勉強時間と結果をお伝えします。

勉強時間:224時間 / 1,313時間(全7科目中)

試験結果:79点 / 100点

具体的な勉強方法については後ほど解説しますが、私は二次試験との関連性も高くコアな科目になると考えていたため、7科目の中でもかなりの時間を割いて対策をしました。

参考:他の科目の目安となる勉強時間

  • 企業経営理論:約150時間
  • 財務・会計:約180時間
  • 運営管理:約150時間
  • 経済学・経済政策:約100時間
  • 経営法務:約100~150時間
  • 経営情報システム:約100時間
  • 中小企業経営・政策:約100時間

二次試験との関連性

企業経営理論の二次試験との関連度:★★★

企業経営理論は、二次試験の「事例Ⅰ」と「事例Ⅱ」に直結し、最も関連度の高い科目です。

企業経営理論での学習は、用語のみならず戦略立案のフレームワークや考え方の基礎が、二次試験での回答に直接生かせことができます。

二次試験までの合格を見据え、早い段階で「企業経営理論」を得意になっておくことが得策です。

企業経営理論の難しさ

企業経営理論の試験概要解説してきましたが、一次試験の全7科目の中でも合格率が低い難関科目であることが分かりました。

では、なぜ企業経営理論の合格率が低いのか、その難しさの理由について考察していきます。

企業経営理論の難しさの理由を知ることで、学習をする上で意識するポイントが見えてきます。

知識だけでは正解できない

企業経営理論が難しい理由の1つ目が、「用語の丸暗記では正解できない」ことです。

企業経営理論の問題では、文章の正誤を判断できるまで、知識を深く理解することが求められます。

例題として、過去問を見てみましょう。

令和4年度 企業経営理論 第28問

ブランドに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 既存ブランドの下で分野や用途、特徴などが異なる新製品を発売することをブランド拡張と呼び、流通側から見た場合にはさまざまなメリットがある。しかしメーカー側から見ると、ブランド拡張には当該新製品が失敗した場合に既存ブランドを毀損するリスクがある一方で、メリットは特にない。


イ 自社ブランドの競合ブランドからの差異化を目指す相対的側面と、消費者から見て自社ブランドに他にはないユニークな価値を持たせる絶対的側面とは、どちらもブランドのポジショニング戦略に含まれる。


ウ 製品カテゴリーなどを提示し、当該カテゴリー内で思いつくすべてのブランドを白紙に書き出してもらう調査により、ブランドの純粋想起について調べることができる。これに対して、ブランド名を列挙し、その中で知っているものをすべて選択し回答してもらう調査は精度が低いため、得られる結果の信頼性も低い。


エ ブランドとは、消費者の記憶に明確に保持されている最終製品の名称を指す。製品の中に使用されている部品や素材などにも名称が付けられていることがあるが、これらはブランドではない。


オ ブランドは、ナショナル・ブランド(NB)とプライベート・ブランド(PB)に分けることができる。PBは大手小売業などの流通業者が開発し製造・販売するもので大手メーカーは関わらないため、PBの売り上げが増えるほどNBを展開する大手メーカーの売り上げは減少する。

まず、選択肢ひとつひとつの文章が長くて、読むだけで大変ですよね…

ちなみに、この問題の正解は「イ」なのですが、

誤りである「ア」については、ブランド拡張が「既存ブランドの下で分野や用途、特徴などが異なる新製品を発売することをブランド拡張と呼ぶ」という記述までは正しいですが、ブランド名を生かして展開をスムーズに進められるなどのメリットが考えられるため、「メリットは特にない」という記述が間違いということになります。

つまり「ブランド拡張」という用語だけでなく、そのメリット・デメリットを理解した上で文章を精読しなければ正解できないわけです。

このように、各理論についての知識が身についていることはもちろん、その知識を使って難解な文章の正誤が判断できるまでの理解が必要となり、用語の丸暗記では正解しにくい難しさの要因となっています。

日本語の読解力が求められる

企業経営理論の難しさの2つ目は、国語の試験とも言われる「日本語を早く正確に読解する」ことが求められる点です。

出題される選択肢ひとつひとつの文章が長く、独特な言い回しで表現されているため、試験時間内に正確に読み解くことが難しい試験となっています。

例えば、以下のような問題が出題されます。

令和5年度 企業経営理論 第11問


野中郁次郎が提唱した組織的知識創造理論における中核的な概念の1つである暗黙知に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア ある時代や分野において支配的規範となる物の見方や捉え方であるパラダイムは、手法的技能としての暗黙知である。

イ 暗黙知は言語化が困難な主観的知識を意味し、そのまま組織的に共有させることが容易である。


ウ 経験は意識的な分析や言語化によっても促進されるため、暗黙知が形式知化されると新たな暗黙知を醸成する。


エ 知識創造の過程は暗黙知と形式知の相互変換であり、集団における暗黙知の共有や一致が知識創造の唯一の出発点である。


オ 豊かな暗黙知の醸成には、経験を積み重ねることが重要で、形式知化を行わないことが推奨される

問題の難易度以前に、日本語の文章として読解が難しい複雑な文章構成になっています。

「暗黙知」や「形式知」という用語をしっかりと理解できている上で、文章の繋がりや正誤を正しく読解する必要がある問題となっています。

ちなみにこの問題の正解は「ウ」です。

このように、独特な言い回しの難解な文章を、限られた試験時間の中で正確に読解する力が求められます。

出題範囲が広い

企業経営理論の3つ目の難しさは、「とにかく出題範囲が広い」ことです。

企業経営理論の出題範囲は、「経営戦略論・組織論・マーケティング論」の3点とお話ししました。

しかし、理論ごとに分類されているとはいえ、それぞれの内容がかなりのボリュームで構成されています。

言ってしまえば、経営に関することなら何が出題されてもおかしくないと考えても良いでしょう。

それぞれの理論・知識を理解することは必要ですが、「広くそこそこ深く」の学習を意識することが大切です。

「労働関連法規」が厄介

企業経営理論の難しさの4つ目に挙げられるのが、「労働関連法規」という内容が出題されることです。

企業経営理論の出題範囲であった「② 組織論」に含まれる「労働関連法規」では、労働基準法をはじめとした、労働に関する法律について出題されます。

この労働関連法規が、出題数が少ない割に覚えなければならない法律の条文が多いため、対策が難しい厄介な内容になっています。

ただでさえ、全7科目という膨大な量を限られた時間の中で学習しなければならない一次試験ですので、勉強時間と得点が見合わない可能性のある内容とは戦略的に向き合わなければなりません。

「労働関連法規」については、捨ててしまうことも視野に入れた、学習内容の選択と集中が必要です。

労働関連法規への対策は別の記事で解説していますので、併せてお読みいただければ幸いです。

企業経営理論の難しさ
  • 知識の暗記だけなく理解が求められる問題
  • 日本語の読解力が必要な難解な文章構成
  • 経営に関するあらゆる内容が問われる出題範囲
  • 暗記量が多いわりに出題が少ない労働関連法規

実際に試験を受けた感想

ここでは、私が実際に企業経営理論を勉強・受験した感想をお話しします。

全7科目の中で一番勉強が楽しい科目

企業経営理論の勉強内容は、コンサルタントして活動する上で欠かせない知識ばかりです。

全7科目の中で最も「中小企業診断士らしい」内容になっており、学習をしていて一番面白かったです。

コンサルティングに関する知識を、企業経営理論ほど体系的に学習できる試験は他にないでしょうし、本業などですぐに生かせる知識も多いため勉強は捗ります。

とはいえ、一次試験では全7科目すべてを満遍なく勉強しなければ合格できないため、企業経営理論ばかりを学習するのはNGです。

問題数が多く疲労感は大きい

試験本番を振り返ると、企業経営理論はかなりの疲労感を感じる科目だったと感じます。

企業経営理論の試験当日では、90分の試験時間の中で、約40問を解くことになります。

企業経営理論の試験は問題数が多く、ひとつひとつの選択肢は回りくどい書き方をした長文です。

さらに、企業経営理論は1日目の3科目目で、お昼ご飯の後ということもあり、疲労感を感じて集中力も切れ始めます。

この疲労感の中でも確実に正誤を見分けるために、知識の定着や文章への慣れが欠かせないでしょう。

問題文だけで解ける問題もある

企業経営理論が「日本語の試験」であることは、悪いことだけではありません。

文章の精読が求められる試験だからこそ、知識が分からなくても文章さえ正しく読めれば解ける問題もあります。

もちろんですが、頻出論点に関する知識は確実にインプットしておかなければなりません。

その上で、本当にわからない初見の用語が出てきても、最後まであきらめずに問題文を精査することが得点率を高めることができるのは、企業経営理論ならではの長所とも言えます。

企業経営理論の合格のポイント

ここまで、企業経営理論の合格率が低い難しさの要因と、実際に私が受験して感じたことについてお話ししました。

これらを踏まえて、企業経営理論で最短合格を勝ち取るためのポイントを解説します。

ポイントは、長文で複雑な「選択肢の攻略」です。

選択肢を「絞る」|頻出論点のインプット

まずは、頻出論点についての知識を確実にインプットし、選択肢をなるべく絞ります。

企業経営理論に限らず、マークシート形式の問題は知識だけで選択肢を絞ることができます。

具体的には、企業経営理論の問題は、以下のようなステップで解くことを意識しましょう。

STEP
知識で選択肢を絞る

企業経営理論の問題の多くは、多くが「ア」~「オ」までの5択問題です。

この時、テキストの頻出内容がインプットできていれば、2択くらいは削ることができます。むしろ知識だけで解ける問題が出てくるだってあるんです。

この段階で選択肢をいくつか絞れるだけで、正答率は大きく向上します。

つまり、テキストにまとまっている重要論点を確実にインプットすることは、企業経営理論を攻略する上で欠かせない要素となります。

STEP
理解と精読で解答を決める

知識で絞り切った残りの選択肢は、用語の理解と文章読解が必要な選択肢だと考えられます。

知識だけで解答できない問題は、過去問演習などのアウトプットで読解力・出題のクセに慣れておく必要があります。

STEP①で、知識だけでどれだけ選択肢が絞れているかが得点に直結するため、まずは頻出論点のインプットは欠かせないと認識しておきましょう。

学習の第一歩としては、テキストを何度も繰り返し学習し、重要論点を確実にインプットすることが最優先です。

選択肢に「慣れる」|知識のアウトプット

ある程度知識がついてきたら、積極的に問題集や過去問を解くアウトプットを行いましょう。

知識だけで解けない問題は、知識に加えて文章を正確に読解することで正解が導ける問題になっているはずです。

しかし企業経営理論の選択肢の特徴は、独自の言い回しで構成された長文を早く正確に読解する力が求められることです。

この文章の精読については、問題集や過去問でアウトプットを繰り返し、文章の特徴に慣れることが最も効率が良いです、

知識だけで解ける問題は、ある程度学習を進めている受験生であれば得点できるでしょう。

しかし、文章読解力が必要な問題は、受験生がいかに読解力を磨いてきたか、すなわちどれだけ場数を踏んできたかで差が出る問題です。

具体的な勉強法は後ほどお話ししますが、早い段階から問題集・過去問に触れ、問題形式に慣れながら内容理解を深めていくことがポイントになります。

理論に深入りしすぎない

企業経営理論の内容は、経営に関する抽象度の高いものが多いですが、深入りは禁物です。

まず前提として、中小企業診断士の一次試験は、各科目で60点を取れば合格です。

出題範囲すべての理論を完璧に理解する必要はないですし、そもそもそんなことは不可能です。

出題者からしても、絶対評価の一次試験で誰も解けないような難しい問題ばかりを出すのではなく、何問か難題を混ぜることで差がつくように出題するでしょう。

企業経営理論における経営に関する知識は、確立されたフレームワークは存在しても、企業の置かれた環境・経営状況は日々変化する流動性の高いものです。

過去問での出題実績があり、テキストでも重要論点としてまとめられている内容をしっかりと学習し、難解な理論に深入りしすぎないことを意識しましょう。

企業経営理論の合格のポイント
  • 重要・頻出論点の知識を確実にインプットして選択肢を「絞る」
  • 早い段階で問題集・過去問に触れ、独特な言い回しや長文の選択肢に「慣れる」
  • それぞれの理論や難解な問題に深入りし過ぎず、取るべき問題を確実に取りに行く

実際に実践した具体的な勉強法

ここまで、企業経営理論の難しさや合格へのポイントをお話ししました。

実際に、私が実践して合格できた勉強方法を紹介します。

私はこの勉強方法を実践し、一年間の学習で79点を取ることができています。是非参考にしてみてください!

STEP
テキストで知識をインプット

まずは、テキストを使って知識・理論をインプットします。

上述した通り、選択肢を絞るためにも、頻出論点の理解を完璧にすることは最優先で行いましょう。

学習の中で意識していたのは、テキストに記載がある内容はすべて完璧にインプットする一方で、テキスト以上の知識を極力放置しておくことです。

過去の出題傾向を見ていると、過去に何度も出題されている内容は限られており、頻出論点さえ押さえておけば6割近い得点を取れることが分かります。

そして、各出版社が出しているテキストは、過去の出題や傾向を踏まえたうえで合格に必要な知識が精査されているものですので、テキストに記載のある内容だけに絞って集中的に学習を進めましょう。

テキストについては、私はTACから出版されている「スピードテキスト」を使用していました。

過去に出題を徹底的に研究した上で、必要な知識だけが抜け漏れ無くまとまっていますし、レイアウトも見やすいので圧倒的にオススメです。

また、働きながらの勉強でしたので、スキマ時間を使って暗記を効率的に行うために、暗記アプリである「フラッシュカード」を使っていました。

自分で好きな形で暗記カードを作れるので、自分で問題を作っておいてスキマ時間に繰り返し解き続けることで記憶の定着を進めることができるためオススメです。

STEP
科目ごとに問題集を解く

テキストを使ってインプットを進める中で、1科目(1章ごと)を暗記したタイミングで問題集を解きます。

企業経営理論の難しさは、文章のクセや長文に慣れる必要があることであるとお話ししました。

そのため、覚えた知識をアウトプットする機会を作りつつ、出題形式に慣れるために早い段階で問題集を解いてみることがオススメです。

私は、テキストに合わせてTACの「スピード問題集」を解いていました。

テキストとの繋がりもあり復習がしやすいですし、過去問を中心とした問題と丁寧な解説で理解を深めることができます。

STEP
過去問を解く

最後は過去問演習です。

過去問を解くタイミングは、他の科目の学習状況にもよりますが、私は7科目すべての学習(テキスト+問題集)までが終わったタイミングで解き始めました。

中小企業診断士の一次試験は、全7科目で総合的に60点以上を獲得する必要があるため、各科目が終わったタイミングで過去問を解くのではなく、すべての科目の学習が終わったタイミングで一気に解く方が実践に近しい形で過去問を活用できるためです。

過去5年分のみを計3回ずつ解き、分からなかった問題や悩んだ問題を書き出して復習する「まとめノート」を作成しておくことで知識の深堀りと実践への慣れを進めていきました。

過去問についても、TAC出版の過去問題集を使用していました。

過去5年分について、テキストに記載がない問題も丁寧な解説がついている点や、問題ごとに受験者の正答率もデータとして公開しているため、どの問題を取るべきなのかを知ることもできます。

以上が私の実践していた勉強方法です。

①テキストでインプット→②すぐに問題集でアウトプット→③過去問で知識の完成と実践への慣れ という至ってシンプルな学習の進め方です。

しかし、必要な内容に絞ったり、アプリを活用して勉強時間を増やすなど、学習効率を意識していたことが得点につながったと感じています。

是非学習方法の参考にしていただければ幸いです。

まとめ

当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今回は、中小企業診断士・一次試験の「企業経営理論」を最短で合格するために、科目の概要から難しさの理由・合格のポイントから具体的な学習方法までを解説しました。

記事でもお話しした通り、企業経営理論は内容が難しいだけでなく、出題形式も厄介で難易度の高い科目です。

しかし、正しいプロセスで計画的・効率的に学習を進めることができれば、独学で合格することもできています。

これから中小企業診断士試験を受験する方が勉強を進めるうえで、この記事が少しでも参考になれば幸いです。

他にも中小企業診断士に関する内容に関する記事を発信していますので、是非勉強の合間などに読んでみてください!

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