「経済学・経済政策」は、中小企業診断士・一次試験科目のひとつとなっています。
この「経済学・経済政策」の内容は、企業を取り巻くマクロ経済や消費者の動向を分析するミクロ経済に関する基本的知識であり、企業が経営を進める上で効果的な戦略・施策を実行する上で知っておく必要があるものです。
しかし、「経済学・経済政策」では、グラフや数式を用いた経済学特有の考え方に基づく問題が出題されるため、理解が難しく苦手とする方が多い科目となっているのも事実です。
そこで、この記事では、「経済学・経済政策」で最短合格を勝ち取るために、合格のポイントと具体的な勉強方法をお話しします。
まず結論として、「経済学・経済政策」の学習を進めるうえで最も重要なのは、「理論に深入りせず重要論点に集中する」ことだと考えられます。
中小企業診断士・一次試験の難しさは、全7科目の膨大な学習量に対して、全体のバランスを見ながら効率的・計画的に学習を進めなければならないことです。
このとき、最短合格を勝ち取るためには、それぞれの科目の特徴を知り、効果的な学習方法を実践する必要があります。
特に「経済学・経済政策」については、得意・不得意がはっきりと分かれる科目でもあるため、攻略法を生かして得意科目として得点源にできるかが、一次試験の合格のカギとなってきます。
この記事を読めば、「経済学・経済政策」の試験の特徴を知り、学習を進めるうえで意識するべきこと、具体的な勉強方法が理解できるため、是非チェックしてくださいね。
- 経済学・経済政策の概要(出題範囲・難易度・合格率・二次試験との関連性など)
- 経済学・経済政策の合格率が低い難しさの理由
- 実際に経済学・経済政策を勉強・受験して感じたこと
- 経済学・経済政策に最短合格するための学習ポイント
- 私が実践した具体的な勉強方法
経済学・経済政策の概要
まずはじめに、「経済学・経済政策」とはどのような試験なのか、試験の概要を解説します。
どのような資格試験でも、試験の概要を把握したうえで対策を考えることは重要です。
科目設置の目的
中小企業診断士試験の申込案内に記載がある、経済学・経済政策の科目設置の目的は以下の通りです。
(科目設置の目的)
r06_1ji_annai.pdf (j-smeca.jp) 令和6年度中小企業診断士 第1次試験案内・申込書より引用
企業経営において、基本的なマクロ経済指標の動きを理解し、為替相場、国際収支、雇用・物価動向等を的確に把握することは、経営上の意思決定を行う際の基本である。また、経営戦略やマーケティング活動の成果を高め、他方で積極的な財務戦略を展開していくためには、ミクロ経済学の知識を身につけることも必要である。このため、経済学の主要理論及びそれに基づく経済政策について、以下の内容を中心に知識を判定する。
経済学を学ぶ最終的な目的としては、「経営コンサルタントとして、企業を取り巻く経済環境に合わせた適切な助言を行うための知識を身に付けること」です。
中小企業診断士として効果的な経営助言を行うためには、企業を取り巻く経済環境を把握・予測した上での戦略を考える能力は必要不可欠です。
上記に記載のある通り、経済環境に合った最適な「経営上の意思決定」を助言するためには、経済全体を広い視野で分析できる「マクロ経済学」の知識が必要とされます。
また、経営上の意思決定を行った後には、事業の成果を創出するマーケティングなどの手段を効果的に実行するために「ミクロ経済学」の知識が求められます。
このように、経済学・経済政策では、中小企業診断士として、経済学を通じて経済環境・消費者動向を分析できる知識・ノウハウを身に付け、企業に効果的な助言が行えるようになることが求められます。
出題範囲
経済学・経済学の出題範囲は以下の通りです。
- 経済指標の見方や読み方
- マクロ経済理論と経済政策
- 国際経済と経済政策
- 主要経済理論
- 市場メカニズム
- 消費と生産の理論
- 組織と戦略の経済学
- 所得分配
- その他経済学・経済政策に関する事項
①経済指標の見方や読み方では、「GDP」や「物価指数」などの経済指標について、その内容や読み方、計算方法などを学習します。用語や計算方法の暗記がメインとなります。
②マクロ経済理論と経済政策~⑤市場メカニズムまでが、マクロ経済を中心とした内容です。
ここでは、経済全体を見る視点(マクロ的視点)から、「IS-LM分析」や「AD-AS分析」などの手法を用いて経済市場全体の分析を行います。
そして⑥消費と生産の理論~⑧所得分配では、ミクロ経済学を中心に学習します。
マクロ経済学で学習する経済市場全体と比較して、より詳細な視点(ミクロ的視点)から、ひとつの企業や消費者の行動についてを分析するのがミクロ経済学です。
それぞれ、経済学者が提唱してきた理論やモデルを、グラフや数式を使って分析できることが求められます。
試験時間や配点
経済学・経済政策の試験時間は60分、配点は100点/700点です。
日程 | 科目 | 配点 | 試験時間 |
---|---|---|---|
1日目 | 経済学・経済政策 | 100点 | 60分 |
財務・会計 | 100点 | 60分 | |
企業経営理論 | 100点 | 90分 | |
運営管理(オペレーション・マネジメント) | 100点 | 90分 | |
2日目 | 経営法務 | 100点 | 60分 |
経営情報システム | 100点 | 60分 | |
中小企業経営・政策 | 100点 | 90分 |
経済学・経済政策は、1日目の1科目目ですので、試験本番ではかなりの緊張状態で問題を解くことになります。
問題数については、4点×25問の計100点が出題されます。
1問あたりの配点が大きいため、ケアレスミスによる失点は避けたいところです。
合格率の推移
経済学・経済政策の、過去18年間の合格率の平均は18.7%です。
中小企業診断士資格取得を目指す方に中小企業診断士試験のご案内です (j-smeca.jp)を元に作成
平均合格率が20%を下回る、難易度の高い試験であることは言うまでもありません。
さらに、最も合格率が高い年度は約39%である一方、最低の年度は2.1%であるように、年度によって合格率に差があることが分かります。
もし仮に、受験年度に試験が難化しても冷静に重要論点を得点できるように準備をし、安定して60点を取れるまでは学習しておく必要があるでしょう。
参考:全7科目の平均合格率(過去18年間)
- 企業経営理論:16.9%
- 財務・会計:14.3%
- 運営管理:17.4%
- 経済学・経済政策:18.7%
- 経営法務:14.9%
- 経営情報システム:19.9%
- 中小企業経営・政策:16.7%
目安となる勉強時間
経済学・経済政策を合格できるレベルになるまでに、約100時間の勉強が必要と言われています。
二次試験との関連度が低いこともあり、他の科目と比べて相対的に勉強時間は少なめになっています。
しかし、経済学に触れたことの無い初学者や、グラフ・数式を用いた特有の問題が苦手な方にとっては、より多くの学習時間が必要になることも考えられます。
ご自身の得意・不得意、科目の学習状況に合わせて勉強時間の最適な配分を行うことを意識しましょう。
参考:他の科目の目安となる勉強時間
- 企業経営理論:約150時間
- 財務・会計:約180時間
- 運営管理:約150時間
- 経済学・経済政策:約100時間
- 経営法務:約100~150時間
- 経営情報システム:約100時間
- 中小企業経営・政策:約100時間
二次試験との関連度
経済学・経済政策の二次試験との関連度:★☆☆
経済学・経済政策は、二次試験との関連はほとんどありません。
あくまで一次試験を突破できるように、効率的に学習を進めてしまいましょう。
もし可能であれば、二次試験との関連度が高い「企業経営理論」や「財務・会計」に多くの時間を割くことが、二次試験までの合格を見据えるのであれば得策です。
経済学・経済政策の難しさ
経済学・経済政策は年度によって合格率の差が大きく、平均しても約20%ほどの難しい試験です。
ここでは、なぜ経済学・経済政策の合格率が低いのか、その難しさの理由を考察します。
試験を難しくしている原因を知ることで、効果的な対策を検討していきましょう。
経済学の理論がシンプルに難しい
経済学・経済政策の難しさの理由の1つ目は、「経済学の理論が難しい」ことです。
至ってシンプルな理由ですが、経済学の理論・モデルは経済学特有の特徴を有しており、一度理解するまでに時間・労力が日露音なります。
特に、経済学に触れたことの無い初学者にとっては、経済学特有の考え方に慣れるまで時間がかかるでしょう。
具体例として、直近の過去問をご紹介します。
政府の国債発行に関する理論についての記述として、最も適切なものはどれか。
ア 課税平準化の理論によれば、課税による超過負担を最小化する観点から、異時点間の税収の変動を抑えるように年々の国債発行額を決定するのが望ましい。
イ 貨幣数量説が成立する古典派経済学の枠組みでは、国債発行を伴う財政政策は、金利の低下を通じて民間投資を促進する効果を持つ。
ウ ケインズ経済学の枠組みでは、流動性のわなが存在する状況下での国債発行を伴う財政政策は、金利の上昇を引き起こすために無効となる。
エ 国債の中立命題によれば、ある時点での国債発行は、家計に将来時点での増税を予期させるために、マクロ経済に与える効果は中立的となる。
この問題では、「国債」の理論についての正誤を判断しなければなりません。
それぞれの理論について内容や効果を知っておく必要がありますが、それぞれが理論はそう簡単に理解できるものではありません。私も最初は何を言ってるのかさっぱりわかりませんでした。
さらに、「金利の低下」や「流動性のわな」など、経済学の基礎理論が身に付いていることが前提で問われています。
経済学では、その理論を深堀しようとするとキリがないですし、難しすぎて勉強が進みません。
このように、試験に出題される内容がシンプルに難しく、試験に合格するために必要な知識を、必要なレベルまで学習することが求められます。
グラフや数式を用いた数学のような問題
経済学・経済政策の難しさの理由の1つ目には、「グラフや数式を用いた経済学特有の問題」が挙げられます。
経済学では、ある理論をグラフや数式を使って説明することが多い学問です。
そして中小企業診断士試験でも、グラフや数式を用いた数学のような問題が多く出題されます。
このようなグラフや数式を用いた問題は、出題が多い一方で理解・読解が難しい厄介な問題となっています。
こちらも具体例をご紹介します。
ワインとチーズという2財を生産するために、2つの生産要素である資本と労働をどのように配分するかという問題を考える。縦軸に資本の賦存量、横軸に労働の賦存量をはかった下図では、OWがワインを生産するのに両生産要素の投入量がともに0の状態、同様にOCがチーズを生産するのに両生産要素の投入量がともに0の状態である。したがって、ボックスの中の任意の点は、これら2財の生産に投入される資本と労働の配分パターンを表している。
ワインとチーズの等産出量曲線がそれぞれ図のように示されているとすると、2財の生産に投入される両生産要素の配分パターンに関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a 点Aでは、パレート効率が実現している。
b 点Dは点Cよりもチーズの生産量が多い。
c 点Bから点Cへの変化は、生産の効率性を改善する。
d 点Eでは、2財の生産において資本と労働の技術的限界代替率が等しい。
〔解答群〕
ア a:正 b:正 c:正 d:誤
イ a:正 b:誤 c:正 d:誤
ウ a:正 b:誤 c:誤 d:正
エ a:誤 b:正 c:誤 d:正
オ a:誤 b:誤 c:正 d:誤
この問題は、2つの財を生産するときの「資本」と「労働」の効率的な分配について、グラフが指す意味を読み取る問題です。
曲線がたくさん記載してありますが、もはやこれはグラフなのでしょうか?
「パレート効率」や「技術的限界代替率」などの用語と意味を理解した上で、複雑なグラフが指し示す意味を正誤で解答しなければならない難問です。
このような問題は、知識を理解していることを前提に、問題によって問われ方の異なるグラフの形状や特徴を、本番で読み取れるようになるまで理解を深めていなければ正解できないのです。
このように、グラフや数式を用いた問題が多く、それぞれが知識の深い理解を求めるものであることも、経済学・経済政策の合格率を下げる原因となっています。
時事問題の出題も多い
経済学・経済政策の難しさの3つ目は、「時事問題の出題」です。
経済環境は、社会情勢の影響を受けて日々変化しており、最新の経済動向を把握できていることが必要です。
そして中小企業診断士試験でも、毎年第1問・第2問で以下のような問題が出題されています。
下図は、2019年1-3月期から2020年7-9月期における日本、アメリカ、中国、イギリスの実質国内総生産(前期比、四半期ベース、季節調整済)の推移を示している。図中のa~cに該当する国の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア a:イギリス b:中国 c:日本
イ a:イギリス b:日本 c:中国
ウ a:中国 b:イギリス c:日本
エ a:中国 b:日本 c:イギリス
オ a:日本 b:イギリス c:中国
この問題では、世界各国の実質国内総生産がどのように推移しているかが問われています。
極論、これは知っていれば確実に正解できる問題です。
しかし、このようなタイムリーな問題で何が出題されてもおかしくないとき、対策として効果的な学習がありません。
毎日経済に関するニュースを見たり、各調査機関が発表しているデータに目を通すなどが考えられますが、他の科目の学習も考慮するとそこまでの時間は割けないでしょう。
このように、最新の経済環境を把握しているかを問う時事問題が毎年1~2問出題される点も、経済学・経済政策の対策を難しくしているひとつの要因と言えるでしょう。
全ての選択肢の正誤判断が必要
経済学・経済政策の難しさの4つ目に挙げられるのが「厄介な選択肢の構造」です。
経済学・経済政策の多くの問題、すべての選択肢の正誤が判断できないと正解できない問題となっています。
以下の過去問の選択肢に注目してみてください。
下図において、ある農産物に対する需要曲線Dの下で、垂直な供給曲線S0が収穫量の増加(Q0→Q1)に伴ってS1にシフトした結果、市場価格はP0からP1に下落した。このときの状況に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a この農産物の生産者は、価格の変化に対して供給量を調整することができない。
b この農産物の供給量が増加したことで、消費者余剰は減少する。
c 供給の価格弾力性は無限大である。
d 需要の価格弾力性(絶対値)が1より小さいと、供給量の増加は生産者の収入を減少させる。
〔解答群〕
ア a:正 b:正 c:正 d:誤
イ a:正 b:誤 c:正 d:誤
ウ a:正 b:誤 c:誤 d:正
エ a:誤 b:正 c:誤 d:正
オ a:誤 b:誤 c:誤 d:正
この問題の選択肢を見ると、すべての選択肢を「正」or「誤」を判断しなければならないことが分かります。
この手の問題を解いていると、「2択までは簡単に絞れたけど、結局この選択肢の正誤が分からなきゃ正解できないじゃん」という状況になるわけです。
「ウ」と「オ」まで絞れたけど、結局「a」の正誤が分からないといけないような状況ですね。
このような形式の選択肢が出題されるのは経済学・経済政策のみですが、近年はほとんどの問題がこのような選択肢となっています。
マークシート形式の試験は、1つの絶対的な正解の選択肢を見つけてしまえばそれで終わりですが、この選択肢ではそうはいきません。
このように、すべての選択肢の正誤が分からないと正解できない選択肢は、経済学・経済政策の問題が解きにくく正答率を下げている原因でしょう。
- 経済学の理論がシンプルに難しい
- グラフや数式を用いた数学のような問題が出題される
- 経済環境に関する時事問題の出題も多い
- 全ての選択肢の正誤判断が必要となる
実際に試験を受けた感想
ここでは、私が実際に経済学・経済政策の試験を受験して感じたことをお話しします。
1日目・1科目目の緊張感は想像以上
経済学・経済政策は、一次試験全7科目の中で最も最初に受験をすることになる科目です。
そして、試験1日目・1科目目の緊張感は想像以上でした。
他の受験生がびっしり埋められたノートやテキストを見て勉強をしている様子を見たり、試験会場の緊張感ある雰囲気では、どんなに学習をしてきても緊張するものです。
しかし、どんなに試験に向けて完璧に勉強してきても、本番の緊張で能力を発揮できなければ意味がありません。
とにかく、本番の緊張状態でも問題を解けるくらいに知識を定着させることが大切です。
また、試験本番は想像以上に緊張するものだと心構えをしておけば、少しは焦ることがなくなるかもしれません。
理論に深入りし過ぎないことが重要
学習を進めるうえで意識すべきだと感じることは、理論に深入りし過ぎず、試験に必要な知識だけを学習することです。
経済学・経済政策の学習内容は、深入りしようと思えばどこまでも学習が終わらない底なし沼です。
すべての経済理論を完璧にマスターすることは難しいですし、実際に試験で出題される範囲・レベルは毎年変化していません。
そのため、学習を進める中では、「重要論点を合格に必要なレベルまで完璧にすること」が重要です。
出題数の多くない難問に対策の時間を割いてしまうと、他の科目に割くべき時間を浪費するリスクに繋がります。
ある程度、重要論点の理解ができた段階で、それ以上深入りせずに他の理論・他の科目に勉強時間を割くことが得策でしょう。
選択肢の厄介さには慣れるしかない
やはり、実際に試験を解いていても、すべての正誤が分からないと正解できない選択肢は非常に厄介でした。
しかし、このような選択肢で出題される以上、これらを克服するための手段を考えなければいけません。
そのため、経済学・経済政策については、あらかじめ、「経済学ではすべての選択肢の正誤が判断できなければ解けない」と思っておきながら学習を進めるべきでしょう。
そして、厄介な選択肢を攻略するための具体策としては、何度も問題を解いて選択肢に慣れることが有効です。
学習を進めていくうちに、選択肢の絞り方のコツを掴むと同時に、やはり頻出の論点がしっかりと理解できていれば選択肢がどうであれ正解できることに気が付くはずです。
経済学・経済政策の合格のポイント
ここまで、経済学・経済政策の試験概要から難しさの理由・私が受験して感じたことをお話ししました。
これらを踏まえて、経済学・経済政策の最短合格を勝ち取るためのポイントをお話しします。
ポイントは、「理論に深入りし過ぎない選択と集中」です。
重要論点の学習に注力する(選択と集中)
まず、経済学・経済政策を学習を進めるうえでの全体戦略は、「重要論点を確実に正解して60点以上を取る」ことです。
上述した通り、経済学の理論は深入りすればどこまでも学習が終わらない底なし沼の分野です。
そこで、時間と労力を効率的に使うため、「必要な理論を必要なレベルまで」学習を進めることを意識しましょう。
前提として、経済学に限らず、中小企業診断士・一次試験は60点を取れば合格です。
そして、経済学に関しては、重要論点を確実に得点できれば60点は十分に狙うことができます。
参考として、TAC出版が公開している受験者の正答率をご紹介します。
(正答率80%以上) | A(60%以上80%未満) | B(40%以上60%未満) | C(20%以上40%未満) | D(正答率20%以下) | E
3(12%) | 6(24%) | 12(48%) | 2(8%) | 2(8%) |
この分類では、受験者の正答率に応じて、「A」~「E」までの5段階で問題の難易度を分類しています。
このとき、「A」や「B」は落としてはいけない問題、「C」は差が付く問題、「D」や「E」はみんなが正解できない問題と言えます。
この分類に基づけば、「A」と「B」を確実に得点し、「C」を半分得点できれば、正答率は60%となります。
そして、「A・B・C」に該当する問題は、いわゆる重要論点に該当し、しっかり学習できていれば得点できる問題です。
一方「D」や「E」に該当する問題は、出題数が少ないうえに内容が難しい、もしくは過去問に出題例のない問題となっており、極論、この問題は対策せずに捨ててしまっても合格水準に到達できます。
つまり、経済学・経済政策を効率的に合格するためには、重要論点に絞って学習を進める「選択と集中」で、60点を目指しに行く戦略が最も有効と言えるでしょう。
グラフは簡易的に書いてみる
重要論点には、経済学特有のグラフや数式を用いた問題も多く含まれています。
経済学・経済政策で頻出のグラフを読み取る問題は、グラフを簡易化して書いてみることで理解が進みやすいです。
グラフを用いた問題の論点を見ると、「グラフが何を意味しているのか」や「外的環境の変化によってグラフがどう変化するか」を読み取ることがほとんどです。
このとき、それぞれのグラフについて、あえてシンプル・簡易的にグラフを書いてみてください。
どんなに複雑そうなグラフでも伝えたいことは1つだけであり、なるべくシンプルにグラフを書いてみることで、すっきりと理解できるはずです。
「需要曲線・供給曲線」や「IS-LM分析」など、重要論点のグラフはシンプルに書いてみて、そのグラフを試験本番でも書き出せるように覚えてしまいましょう。
理論が理解できないときはネットで調べる
経済学を学習していると、必ずどこかで「何を言ってるのかわからない」という難しい論点にぶつかるかと思います。
このような、どうしても理解が難しい内容と出会ったときは、ネットでその理論について調べてみることがオススメです。
ネットには、経済学の難解な理論をシンプルに分かりやすく解説している記事がたくさん公開されています。
参考書を読んでいてわかりにくいと感じる論点は、多くの人が理解に苦しむ内容であることが多く、多くの人がつまずくポイントを解説しているサイトは絶対に存在します。
あくまで、難しすぎる論点には深入りせず、テキストや過去問で分からない論点があったときにはネットを活用しましょう。
経済学の専門書を読むのは効果的?
経済学の初学者に対して、導入として経済学の専門書を読むことがオススメされることも多いです。
結論、わざわざ専門書を買って読む時間を作る必要はないと考えています。
確かに、経済学の初学者にとっては、いきなりテキストを読んでも理解が進まないでしょう。しかし、ネットの記事を読みながらテキストを学習していけば、そこまで難解な論点は少ないことが分かるかと思います。
経済学の専門書は、中小企業診断士試験を攻略するための本ではないため、診断士試験では必要ない領域まで学習してしまうこともあるでしょう。
他の科目も並行して学習を進めなければならないことを考えると、ネット記事とテキストだけで必要な論点をマスターし、他の科目に時間を割いた方が効率的だと考えます。
- 重要論点を確実に得点し、60点超えを目指す学習を行う。
- グラフはなるべく簡易的に書いてみることで理解する。
- どうしても論理が理解できないときはネット記事を調べる。
実際に実践した具体的な勉強法
ここまで、経済学・経済政策の学習のポイントについて解説しました。
最後に、実際に私が実践していた学習の進め方・勉強方法を紹介します。
まずは、テキストを使って理論・グラフの意味を暗記します。
経済学では、経済理論や指標の暗記はもちろん、グラフの意味や変化についてを暗記する必要があります。
やはりこの時に意識すべきは、「必要な知識を必要なレベルまで理解する」ことです。
テキストに記載されている内容は、過去の出題を踏まえた出題可能性の高いものですので、テキスト以上に深入りしないよう意識しながらインプットを進めていきましょう。
私は診断士試験の対策テキストとして人気な、TAC出版の「スピードテキスト」を使用していました。
数あるテキストの中でも多くの受験生に愛用されているテキストで、やはり出版社独自の過去問分析に基づいた「無駄なく・漏れなく」の掲載内容が非常に優秀です。
また、経済学特有の難解な理論に対しても、なるべく簡潔でわかりやすい解説が付されているため、初学者でもテキスト一冊だけで学習が進めていけるでしょう。
また、時間の有効活用のたま、暗記アプリである「フラッシュカード」を使っていました。
自由な内容・形式でご自身だけの暗記カードを作成できる無料アプリです。忙しい中で学習を進めるとき、スキマ時間に暗記を進めることができる、勉強の効率が大幅にアップするオススメアプリとなっています。
インプットが進んだら、問題集を用いてなるべく早い段階で一度アウトプットを行います。
私は、1科目(1章)の暗記が終わったらその内容の問題を解いていました。
やはり受験勉強では、ただ知識や理論を暗記するだけでは意味がなく、問題が解けるようになることがゴールです。
早い段階でアウトプットを行うことで、インプットした知識が試験でどのように問われるのかを知ることができますし、知識をさらに定着させることにも繋がります。
私は、テキストに合わせてTAC出版から発売されている、「スピード問題集」を使用していました。
各内容ごとに問題がもれなく掲載されていますし、過去問を中心とした実戦レベルの問題となっています。
グラフの問題についても、グラフを用いて丁寧に解説されているため、応用問題への対応もこの問題集だけで十分に行うことができるでしょう。
最後は、より実践レベルに仕上げるために過去問を解き進めます。
私は全7科目すべての学習(テキスト+問題集)が終わったタイミングで過去問を解き始めました。
中小企業診断士の一次試験は、全7科目で総合的に60点以上を獲得する必要があるため、各科目が終わったタイミングで過去問を解くのではなく、すべての科目の学習が終わったタイミングで一気に解く方が実践に近しい形で過去問を活用できるためです。
タイマーで60分しっかりと測ってマークシートも用意し、なるべく実践に近しい形で解いていきます。
また、間違えた問題や悩んだ問題はチェックしておき、「まとめノート」を作成しておくことで復習を行いました。
過去5年分の過去問を3回ずつくらい解き、間違えた問題を中心に復習を繰り返すことで、本番までに1%で得点率を高めるようにラストスパートをかけましょう!
過去問についても、TAC出版の「第1次試験過去問題集」を使用していました。
過去5年分の問題と解説が掲載されており、どの問題も解説を読めば理解できるくらいに丁寧でわかりやすかったです。また、受験者の正答率も付されているため、捨てる問題が一瞬でわかるのもありがたいです。
以上が、私が実践していた勉強方法になります。
大まかな流れとしては、①テキストでインプット→②すぐに問題集でアウトプット→③過去問演習 です。
やはり、経済学・経済政策の攻略で最も意識すべきは、「重要論点を確実に得点し、難解な理論には深入りせずに60点超えを目指す」ことです。
二次試験との関連度も低いため、効率的に学習を終え、他の科目に注力する時間を作ることが理想的ですね。
まとめ
当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、中小企業診断士・一次試験を最短で合格するために、「経済学・経済政策」について、科目の概要から難しさの理由、合格のポイントと具体的な勉強方法を解説しました。
経済学・経済政策は、出題内容が経済学特有のクセを持ち、かつ難易度も高いため、苦手とする方も多い科目です。
難しい試験だからこそ、試験の特徴や攻略法をを踏まえて対策することが重要であり、経済学・経済政策の攻略のカギは「深入りし過ぎない選択と集中」です。
この記事が、中小企業診断士を目指す皆様が学習を進める中で、少しでも参考になれば幸いでございます。
他にも中小企業診断士に関することを記事で発信していますので、勉強の合間に是非とも呼んでみてくださいね!
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