中小企業診断士の一次試験の科目である企業経営理論には、「労働関連法規」と呼ばれる分野が出題されます。
「労働関連法規」は、企業が人を雇用して働かせるときに、雇用主と労働者がお互いに守らなければならない労働に関する法律であり、従業員を雇って経営を行う企業にとっては知っておくかなければなりません。
しかし、中小企業診断士試験の攻略においては、暗記しなければならない法律・条文の数が多く、細かなルールについて理解する必要があるため、時間もかかる厄介な分野でもあります。
この記事では、「労働関連法規」について、最短で合格するためにはどのような対策をするべきなのか、その向き合い方について解説します。
中小企業診断士試験の合格が難しい最大の理由は、全7科目の膨大な学習範囲に対して、効率的・計画的に学習を進めなければならないことでしょう。
このとき、労働関連法規に時間をかけすぎてしまうと、より配点の高い問題や他の科目の学習が疎かになる可能性があるため、いかに効率よく学習を進めるのか、戦略を立てて対策を進めることが望ましいです。
この記事を読めば、「労働関連法規は、何を勉強し、何を捨てればいいのか」がわかるよう、過去問を分析しながら解説していきます。
- 「労働関連法規」が占める得点の割合
- 「労働関連法規」の戦略的な捨て方
- 過去問で出題された頻出論点とその対策
- ここだけは勉強しておくべき内容
- 「労働関連法規」で選ばれやすい選択肢の傾向
労働関連法規が占める得点割合
まずはじめに、企業経営理論の100点満点の中で、労働関連法規が何点を占めているのかを解説します。
得点率から、どのくらいの時間・労力を割くことが合理的なのかを考えてみましょう。
過去の出題数と配点
過去5年間の過去問を確認すると、労働関連法規の出題数は以下の通りです。
令和5年 | 第24問(配点2点) | 第25問(配点2点) | 第26問(配点2点) | 第27問(配点2点) | 計4問(8点) |
令和4年 | 第23問(配点2点) | 第24問(配点2点) | 第25問(配点2点) | 第26問(配点2点) | 計4問(8点) |
令和3年 | 第24問(配点2点) | 第25問(配点2点) | 第26問(配点2点) | 第27問(配点2点) | 計4問(8点) |
令和2年 | 第24問(配点2点) | 第25問(配点2点) | 第26問(配点2点) | 第27問(配点2点) | 計4問(8点) |
令和1年 | 第22問(配点2点) | 第23問(配点2点) | 第24問(配点2点) | 第25問(配点2点) | 計4問(8点) |
このように、労働関連法規は、毎年4問が出題され、そのすべての配点が2点ですので、計8点分が出題されます。
企業経営理論は100点満点の科目ですので、労働関連法規が占める得点割合は8%ということになります。
過去5年間の出題を見て整理すると、きれいに整った表が完成しました。おそらく、労働関連法規については「2点×4問」を意図的に出題していると考えられ、この傾向は今後も変わらないのではないでしょうか。
私が実践していた「労働関連法規の戦略的捨て」
企業経営理論の合格には60%以上の得点率が必要になる中で、約8%を占めているとなると、完全に捨て切ってしまうのは怖く感じますよね。
しかしながら、労働関連法規を完璧にマスターするには、かなりの量の暗記が必要になるため、相当な時間・労力が必要になることも否めません。
この厄介な労働関連法規に対して、私が実践していたオススメの戦略は、「4問中1問を確実に正答する」ことを目標にして、あまり時間を割かない戦略です。
具体的には、「よく出題されている内容」や「出題されそうな問題」に絞って学習を進め、その問題を確実に取る作戦を採り、重く考えすぎないようにしましょう。
私自身はこの戦略を採り、過去の出題が多い内容だけは確実に暗記して、出題される可能性と低いと判断した問題は一切手を付けませんでした。その結果、令和5年度の本番では3問正解できています。(うち1問は1/4を当てただけですが…)
労働関連法規の過去の出題内容
労働関連法規は、すべての内容を完璧に学習するのではなく、過去に頻繁に出題されている内容に絞って学習を進めていくべきことをお話ししました。
そこで、労働関連法規の中でも、どのような内容が出題されることが多いのかを分析していきます。
過去5年間の労働関連法規の問題を内容ごとに分類すると、以下のようになります。
令和5年 | 令和4年 | 令和3年 | 令和2年 | 令和1年 | |
労働基準法の概要 | ○(25) | ○(23) | ○(24) | ||
就業規則 | ○(24) | ||||
労働契約 | |||||
労働時間・休日 | ○(26) | ○(25) | ◎(24,25) | ○(22) | |
賃金 | ○(24) | ○(26) | |||
退職/解雇 | ○(27) | ||||
労働組合法 | ○(26) | ||||
労働安全衛生法 | ○(23) | ||||
労働保険 | ○(25) | ||||
社会保険 | ○(27) | ○(25) | |||
パワハラ法 | ○(26) | ||||
外国人雇用 | ○(27) | ||||
男女雇用機会均等法 | ○(24) |
薄い赤色で塗りつぶしている内容は、「労働基準法」の中に含まれるものです。
過去5年間の出題内容を見てみると、「労働基準法」についての出題が多く、中でも「労働時間・休日」や「賃金」についてが出題されていることが分かります。
このことから、労働関連法規の中でも、優先的に学習すべきは「労働基準法」であると言えます。
労働関連法規では、基本的に法律によって定められた労働に関するルールが論点ですので、その基本となる労働基準法が頻繁に出題されるのは納得できます。
「外国人雇用」や「男女雇用機会均等法」など、トレンドに合わせた法令から出題されることもあります。労働基準法を中心に学習を進めながら、ニュースで労働に関する記事があれば目を通しておくと良いかもしれません。
狙われそうな分野・過去問対策
労働関連法規では、中でも「労働基準法」からの出題が多いことを確認しました。
ここからは、労働基準法の中でも出題が多い内容について、過去問を見ながら分析していきます。
「労働基準法」の概要についての問題
「労働基準法」について、様々な内容が選択肢に含まれるが問題がよく出題されています。
幅広い内容の中でも、「労働時間」や「労働契約」など、労働基準法の基礎となる内容が登場します。
対象となる範囲が広く対策は難しいですが、労働基準法の基本的な条文さえ頭に入っていれば取捨選択は可能な難易度になっていることが多いのも特徴です。
過去に出題のある論点をしっかりと理解し、テキストをインプットできている状態で臨みましょう。
労働基準法の過去問
労働基準法の定めに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア:使用者により明示された労働条件が事実と相違する場合に、労働者が労働契約を解除するためには、労働契約を解除する日の30日前までにその予告をしなければならないと規定されている。
イ:使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないと規定されている。
ウ:使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならず、選挙権の行使は国民の重要な権利であるから、その時間の給与は支払わなければならないと規定されている。
エ:労働基準法で定める労働条件の基準に達しない労働条件を定めた労働契約は、当該基準に達しない部分のみならず、労働契約全体が無効になると規定されている。
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解答解説
ア:適切ではない
使用者により明示された労働条件が事実と相違する場合に、労働者が労働契約を解除するためには、労働契約を解除する日の30日前までにその予告をしなければならないと規定されている。
➤➤労働基準法第15条2項を見てみると、使用者が提示する労働条件が事実と相違する場合には、労働者は即座に労働契約を解除することができると規定されています。
イ:適切である
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないと規定されている。
➤➤休憩時間については、「6時間超~8時間以内:45分以上」「8時間超:1時間以上」を与えなければなりません。「超」と「以内」が紛らわしいので注意しましょう。また、休憩の与え方についても、①労働時間の途中に与えなければならない②一斉に与えなければならない③自由に利用させなければならない、とされています。
ウ:適切ではない
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならず、選挙権の行使は国民の重要な権利であるから、その時間の給与は支払わなければならないと規定されている。
➤➤この「公民権行使の保障」については、労働基準法第7条に規定があります。公民としての権利行使や公の職務を執行することを請求した場合には、使用者はこれを拒むことができません。この問題の前半は正しいということになります。しかし、給与の支払いに関しては条文に規定がないため、給与を支給するか否かは当事者が決定できます。
エ:適切ではない
労働基準法で定める労働条件の基準に達しない労働条件を定めた労働契約は、当該基準に達しない部分のみならず、労働契約全体が無効になると規定されている。
➤➤労働基準法第13条において、労働基準法で定める労働条件の基準に達しない労働条件を定めた労働契約は、その部分については無効になると規定されています。労働契約全体が無効になるわけではありません。
労働時間・休日
労働基準法の中でも特に出題されやすい論点が「労働時間・休日」です。
近年では、フレックスタイム制やリモートワークを採用や働き方改革が推進されています。
労働者の働き方が大きく変化しており、労働基準法にもフレックスタイム制の規定が追加されるなど、労働関連法規も刷新されていきます。
労働時間や休日については、より最新の知識を身に着けておく必要性も増しているため、今後も出題可能性が高いでしょう。
使用者が労働者に与えなければならない休憩や休日、時間外労働の上限などはインプットしておきましょう。
就業時間の過去問①
労働基準法第36条の手続きによる労使協定(以下「36協定」という)によって、法定労働時間を延長して労働させることができる時間外労働(ないし時間外労働に休日労働を加えた時間)の上限に関する記述として、最も不適切なものはどれか。(なお、本問中、建設事業・自動車運転手・医師・鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造事業については考慮に入れないものとする。)
ア:違反に対して罰則が適用される時間外労働(ないし時間外労働に休日労働を加えた時間)の上限に関する規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務についても適用される。
イ:時間外労働の限度時間は、原則として1か月について45時間及び1年について360時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)である。
ウ:事業場における通常予見できない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に原則として限度時間を超えて労働させる必要がある場合においては、36協定に特別条項を付加できることができるが、それによって労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間は、1か月について100時間未満の範囲内に限られ、並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間は720時間を超えない範囲内に限られる。
エ:使用者は、36協定の定めるところによって労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であっても、1か月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間は、100時間未満でなければならない。
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解答解説
ア:適切ではない
違反に対して罰則が適用される時間外労働(ないし時間外労働に休日労働を加えた時間)の上限に関する規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務についても適用される。
➤➤フレックスタイム制においては、総労働時間を定めておく一定期間は3か月以内に期間までが認められているため、1か月を超えることができないことはありません。前半の文章は正しいのですが、一切正誤に関係ないですね。
イ:適切ではない
時間外労働の限度時間は、原則として1か月について45時間及び1年について360時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)である。
➤➤労働基準法では、休憩の与え方として①労働時間の途中に与えなければならない②一斉に与えなければならない③自由に利用させなければならない、という規定があり、フレックスタイム制を採用した場合でもこれらの規定は適用されます。
ウ:適切ではない
事業場における通常予見できない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に原則として限度時間を超えて労働させる必要がある場合においては、36協定に特別条項を付加できることができるが、それによって労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間は、1か月について100時間未満の範囲内に限られ、並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間は720時間を超えない範囲内に限られる。
➤➤フレックスタイム制を採用した場合でも、法定労働時間を超えた労働時間や深夜労働に対する割増賃金を払わなければなりません。
エ:適切である
使用者は、36協定の定めるところによって労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であっても、1か月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間は、100時間未満でなければならない。
➤➤フレックスタイム制を採用する場合には、①労働者の範囲②清算期間及びその起票日③清算期間における総労働時間④標準となる1日の労働時間などを定めなければなりません。これらが定まっていなければフレックスタイム制を正常に機能させることが難しいですね。
就業時間の過去問②
労働基準法第32条の3に定められた、いわゆる「フレックスタイム制」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア:フレックスタイム制は、一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働くことにより、労働者が仕事と生活の調和を図りながら、効率的に働くことを可能にする制度であって、当該一定期間は1か月を超えることはできない。
イ:フレックスタイム制を採用した場合は、労働基準法第34条第2項に定められた休憩についてのいわゆる「一斉付与の原則」は適用されない。
ウ:フレックスタイム制を採用する場合であって、対象となる労働者に支払われると見込まれる賃金の額を相当程度上回る水準である場合は、労働時間、休日及び深夜労働に関する割増賃金の支払いを要しない。
エ:フレックスタイム制を採用する場合には、労働基準法第32条の3に定められた労使協定において標準となる1日の労働時間を定めておかなければならない。
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解答解説
ア:適切ではない
フレックスタイム制は、一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働くことにより、労働者が仕事と生活の調和を図りながら、効率的に働くことを可能にする制度であって、当該一定期間は1か月を超えることはできない。
➤➤フレックスタイム制においては、総労働時間を定めておく一定期間は3か月以内に期間までが認められているため、1か月を超えることができないことはありません。前半の文章は正しいのですが、一切正誤に関係ないですね。
イ:適切ではない
フレックスタイム制を採用した場合は、労働基準法第34条第2項に定められた休憩についてのいわゆる「一斉付与の原則」は適用されない。
➤➤労働基準法では、休憩の与え方として①労働時間の途中に与えなければならない②一斉に与えなければならない③自由に利用させなければならない、という規定があり、フレックスタイム制を採用した場合でもこれらの規定は適用されます。
ウ:適切ではない
フレックスタイム制を採用する場合であって、対象となる労働者に支払われると見込まれる賃金の額を相当程度上回る水準である場合は、労働時間、休日及び深夜労働に関する割増賃金の支払いを要しない。
➤➤フレックスタイム制を採用した場合でも、法定労働時間を超えた労働時間や深夜労働に対する割増賃金を払わなければなりません。
エ:適切である
フレックスタイム制を採用する場合には、労働基準法第32条の3に定められた労使協定において標準となる1日の労働時間を定めておかなければならない。
➤➤フレックスタイム制を採用する場合には、①労働者の範囲②清算期間及びその起票日③清算期間における総労働時間④標準となる1日の労働時間などを定めなければなりません。これらが定まっていなければフレックスタイム制を正常に機能させることが難しいですね。
賃金
労働基準法の中でも「賃金」に関する内容もよく出題されています。
企業の使用者が労働者を雇用するとき、賃金に関する規則が曖昧であれば大きな問題になってしまいます。
何が賃金に該当するのか、どのように、いつまでに支払わなければならないのか等のルールを押さえておきましょう。
労働基準法における賃金に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア:賃金は、通貨で支払わなければならないが、労働組合がない企業について、労働者の過半数を代表する者との書面による協定があれば、使用者は通勤定期券や自社製品等の現物を賃金の一部として支給することができる。
イ:賃金は、通貨で支払わなければならないが、使用者は労働者の同意を得て、労働者が指定する銀行の労働者本人の預金口座へ振り込む方法で支払うことができる。
ウ:労働基準法で賃金とは、賃金・給料・手当・賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいうが、就業規則に支給条件が明確に定められている結婚手当は賃金になることはない。
エ:労働者が未成年である場合には、未成年は独立して賃金を請求することはできず、親権者又は後見人が、未成年に代わってその賃金を受け取ることとなる。
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解答解説
ア:適切ではない
賃金は、通貨で支払わなければならないが、労働組合がない企業について、労働者の過半数を代表する者との書面による協定があれば、使用者は通勤定期券や自社製品等の現物を賃金の一部として支給することができる。
➤➤賃金は、基本的には通貨で払わなければなりません。この例外として通勤定期券や自社製品等の現物を賃金の一部として支給するには「労働協約」を締結しなければなりません。つまり、労働者の過半数を代表する者との書面による協定だけでは支給を行うことはできないことになります。
イ:適切である
賃金は、通貨で支払わなければならないが、使用者は労働者の同意を得て、労働者が指定する銀行の労働者本人の預金口座へ振り込む方法で支払うことができる。
➤➤労働者の同意を得れば、賃金を振り込む方法で支払うことができます。
ウ:適切ではない
労働基準法で賃金とは、賃金・給料・手当・賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいうが、就業規則に支給条件が明確に定められている結婚手当は賃金になることはない。
➤➤労働基準法における賃金は、労働の代償として使用者が労働者に支払うすべてのものを指します。そして、結婚手当については、就業規則や労働契約であらかじめ支給条件が明確に定められているものは賃金に該当します。
エ:適切ではない
労働者が未成年である場合には、未成年は独立して賃金を請求することはできず、親権者又は後見人が、未成年に代わってその賃金を受け取ることとなる。
➤➤労働基準法では、賃金は労働者に直接支払わなければならないと定められています。そのため、未成年であっても独立して賃金を請求することができます。高校生でアルバイトしている方も、直接振り込みで給料を受け取っていることをイメージできれば余裕ですね!
「正しい選択肢」の傾向
「やるべき勉強はしたが分からない」や「全く見たことが無い内容が出た」など、どうしようもない問題への対応も考えておきましょう。
最終手段にはなりますが、過去にどの選択肢が正解になりやすかったのかを知っておけば、最後に選択肢を決め切るための判断材料になるかもしれません。
過去5年間で出題された労働関連法規についての問題について、選択肢ごとに正解が配置された回数は以下の通りです。
年度 | ア | イ | ウ | エ |
---|---|---|---|---|
令和5年 | 50%(2回) | 50%(2回) | 0%(0回) | 0%(0回) |
令和4年 | 25%(1回) | 50%(2回) | 25%(1回) | 0%(0回) |
令和3年 | 0%(0回) | 75%(3回) | 0%(0回) | 25%(1回) |
令和2年 | 25%(1回) | 25%(1回) | 0%(0回) | 50%(2回) |
令和1年 | 25%(1回) | 50%(2回) | 0%(0回) | 25%(1回) |
合計 | 25%(5回) | 50%(10回) | 5%(1回) | 20%(4回) |
労働関連法規の問題は選択肢「オ」が無いため、どんな問題でも最低25%で正解できます。
そして、データをまとめて驚いたのですが、過去5年間で出題された計20問の労働関連法規の問題は、「イ」が正解の問題が10回(50%)もありました。逆に、「ウ」が正解だった問題は1問(5%)しかありません。
もちろん偶然である可能性はありますが、ここまで顕著に偏りが出るのであれば、頻出の「イ」か逆張りの「ウ」を選ぶ価値はあるかもしれません。
次に、企業経営理論全体の選択肢ごとの正解が配置された回数を見てみます。
年度 | ア | イ | ウ | エ | オ |
---|---|---|---|---|---|
令和5年 | 29.3%(12回) | 29.3%(12回) | 17.1%(7回) | 19.5%(8回) | 4.9%(2回) |
令和4年 | 31.7%(13回) | 17.1%(7回) | 22.0%(9回) | 17.1%(7回) | 12.2%(5回) |
令和3年 | 17.1%(7回) | 19.5%(8回) | 39.0%(16回) | 12.2%(5回) | 12.2%(5回) |
令和2年 | 9.8%(4回) | 26.8%(11回) | 22.0%(9回) | 31.7%(13回) | 9.8%(4回) |
令和1年 | 24.4%(10回) | 24.4%(10回) | 19.5%(8回) | 19.5%(8回) | 12.2%(5回) |
合計 | 22.4%(46回) | 23.4%(48回) | 23.9%(49回) | 20.0%(41回) | 10.2%(21回) |
企業経営理論の全体で見てみると、選択肢「オ」がある問題が25問ほど出題されます。
半分は「オ」が無いことを考慮しても、すべての選択肢でバランスよく出題されていることが分かります。強いて言うなら「エ」が少なめになっていますね。
このデータをもとに、選ぶ選択肢を決めるなら以下のような考えができるのではないでしょうか。
・労働関連法規の問題は「イ」が正解の問題が圧倒的に多く、「ウ」はほとんど選ばれたことがない
過去の傾向を信じるなら「イ」を、確率が収束すると読むなら「ウ」を選ぶ!
・企業経営理論全体で見ると「イ」と「ウ」が正解の問題が多く、「エ」は少なめになっている
過去の傾向を信じるなら「イ」か「ウ」を、確率が収束すると読むなら「エ」を選ぶ!
本当にわからない問題が出てきたときに、最後の最後で選択肢を決め切るときの参考にしてくださいね。
まとめ
当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、中小企業診断士の一次試験科目である企業経営理論に出題される「労働関連法規」について、どのような対策を行うべきなのか、その向き合い方について解説しました。
記事の中でもお話ししました通り、労働関連法規に時間を割きすぎてしまうと、他の科目の学習が疎かになるリスクがあります。
全体最適を目指す必要のある試験で、効率的に得点率を高めるために、まずは「労働基準法」に重点を置いて学習を進め、深入りしすぎないように意識しましょう。
厄介な労働関連法規について、少しでも皆様が学習を進めるうえでの参考になれば幸いです。
他にも、中小企業診断士試験を最短で合格するために役立つ記事を発信しておりますので、是非チェックしてみてください。
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