「運営管理(オペレーション・マネジメント)」は、中小企業診断士・一次試験で出題される科目のひとつです。
この「運営管理(オペレーション・マネジメント)」の内容は、製造業や卸売・小売業が行う生産活動や販売活動におけるオペレーションについての知識が中心となっています。
製造業や卸売・小売業は、中小企業の中でも企業数の多い業種であり、中小企業診断士として活動する中でクライアントとして助言を行う機会が多いことが想定されるため、実務における重要度が高い試験と言えます。
しかし、製造・販売に関する実務的な内容は、実務経験がないとイメージしにくいこともあり、運営管理を苦手としている方も多いのも事実です。
そこで、この記事では、「運営管理(オペレーション・マネジメント)」で最短合格を勝ち取るために、合格のポイントと具体的な勉強方法をお話しします。
先に結論を述べると、運営管理の学習を進めるうえで最も重要なのは、「内容の選択と集中による暗記」です。
中小企業診断士の一次試験の最大の難しさは、全7科目の膨大な学習量に対して、バランスよく6割以上を獲得できるように効率的・計画的に学習を進めなければならないことでしょう。
最短での合格を勝ち取るためには、それぞれの科目の特徴と効果的な学習方法を知り、計画的に勉強を進めることがカギとなります。
この記事を読めば、「運営管理(オペレーション・マネジメント)」の試験の特徴を知り、学習を進めるうえで意識するべきこと、具体的な勉強方法が理解できるため、是非チェックしてくださいね。
- 運営管理の概要(出題範囲・難易度・合格率・二次試験との関連性など)
- 運営管理の合格率が低い難しさの理由
- 実際に運営管理を勉強・受験して感じたこと
- 運営管理で最短合格を勝ち取るための学習ポイント
- 私が実践した具体的な勉強方法
運営管理(オペレーション・マネジメント)の概要
まず「運営管理(オペレーション・マネジメント)」とはどのような試験なのか、試験の概要について解説します。
どのような資格試験であっても、試験の概要を知って対策を立てることは欠かせません。
科目設置の目的
中小企業診断士試験の申込案内には、各科目の設置目的が記載されており、運営管理の目的設置は以下の通りです。
(科目設置の目的)
r06_1ji_annai.pdf (j-smeca.jp) 令和6年度中小企業診断士 第1次試験案内・申込書より引用
中小企業の経営において、工場や店舗における生産や販売に係る運営管理は大きな位置を占めており、また、近年の情報通信技術の進展により情報システムを活用した効率的な事業運営に係るコンサルティングニーズも高まっている。このため、生産に関わるオペレーションの管理や小売業・卸売業・サービス業のオペレーションの管理に関する全般的な知識について、以下の内容を中心に判定する。
運営管理(オペレーション・マネジメント)の設置目的は、企業の母数が多い「製造・卸売・小売・サービス業」が行う生産・販売に関わるオペレーションを改善する経営助言を行うための知識を習得することです。
記載がある通り、中小企業の中でも「製造業」や「小売・卸売業」を営む企業数は多く、実際にオペレーション改善を望むニーズが高まっています。
そのため、中小企業診断士として活動する上では、これらの業種に関する生産・販売のオペレーションを知り、アドバイスできる能力は欠かせません。
実際に、製造業のオペレーション改善に特化した活動を行う診断士の方もいるほどです。
企業がより効率的な生産活動・より効果的な販売施策が行えるように助言を行うため、その基礎となる知識を身に付けることが求められます。
特に、「情報システムを活用した効率的な事業運営に係るコンサルティングニーズ」という記載の通り、各種システムを活用して業務効率化を図る施策は、運営管理のみならず事例Ⅲでも頻出の内容となっています。
出題範囲
運営管理(オペレーション・マネジメント)の出題範囲は大きく「①生産管理」と「②店舗・販売管理」2つに分類されています。
それぞれの出題内容について詳しく見てみましょう。
- 生産管理概論
- 生産の管理
- 作業の管理
- 設備の管理
- 物の管理
- その他生産管理に関する事項
「①生産管理」では、主に製造業の行う生産活動について、より効率的・効果的に生産を行うための施策を考えます。
生産管理は、「Q:Quality(品質)」「C:Cost(コスト)」「D:Delivery(数量および納期)」の3つの観点から管理をするものです。
つまり、「より良いもの」を、「なるべくお金をかけず」に、「期限通りに適量を生産する」ことを目指します。
そのために、生産計画の立案方法や在庫の発注・管理方法、設備のレイアウト配置などの具体的な手法を学習します。
生産活動を行う企業に対して、「QCD」の向上を図り生産効率を高めるための様々な手法を学び、実際に助言を行うための知識・ノウハウを身に付けることが「①生産管理」では求められます。
- 店舗・商業集積
- 商品仕入・販売(マーチャンダイジング)
- 商品補充・物流
- 流通情報システム
- その他店舗・販売管理に関する事項
「②店舗・販売管理」では、生産した商品を流通・販売するときのことを考えます。
卸売・流通業者にとっては、どのくらいの在庫を仕入れ、どのように在庫を管理するのかを検討するときには、売れ行きを分析しつつ適切な在庫量を把握し、バーコードなどを活用して抜け漏れなく在庫を管理しなければなりません。
また、小売店や商業施設にとっては、より販売を促進するために、どのような店舗レイアウトで広告を打つのか、仕入れ方法・時期はどうするのかを検討しなければなりません。
このとき、中小企業診断士としては、商品仕入や店舗レイアウト・広告効果についての知識に基づき、より効率的・効果的な流通・販売が行えるように助言が行える必要があります。
このように「②店舗・販売管理」では、卸売・小売業を営む企業に対して、その流通・販売を効果的に行うための手法を学び、助言を行うための知識・ノウハウを身に付けることが求められます。
試験時間や配点
運営管理の試験時間は90分、配点は100点/700点です。
日程 | 科目 | 配点 | 試験時間 |
---|---|---|---|
1日目 | 経済学・経済政策 | 100点 | 60分 |
財務・会計 | 100点 | 60分 | |
企業経営理論 | 100点 | 90分 | |
運営管理(オペレーション・マネジメント) | 100点 | 90分 | |
2日目 | 経営法務 | 100点 | 60分 |
経営情報システム | 100点 | 60分 | |
中小企業経営・政策 | 100点 | 90分 |
問題数については、運営管理(オペレーション・マネジメント)では、約40問ほどが出題されます。
そして、問題によって配点が異なることが特徴で、1問2点もしくは3点の問題が出題されます。
他の科目に比べて試験時間が長く、1日目の最後の試験ということもあり、最後まで集中力を切らさずに正答を積み重ねる胆力が求められます。
合格率の推移
運営管理(オペレーション・マネジメント)の、過去18年間の平均は17.4%です。
中小企業診断士資格取得を目指す方に中小企業診断士試験のご案内です (j-smeca.jp)を元に作成
合格率平均が20%を下回る、難しい試験であることは言うまでもありません。
さらに、年度によって合格率にムラがありますが、運営管理は難化傾向にあると言われています。
実際、私が受験した2023年度試験では、運営管理が非常に難化したと言われており、受けた所感としても過去問よりもかなり難しく手ごたえが全くありませんでした。
はじめて見る内容や計算問題が多く、今後も難化傾向が続く可能性は大いにありそうです。
基本的な論点は押さえつつ、最新年度の過去問を対策することで変化に対応することが求められるでしょう。
参考:全7科目の平均合格率(過去18年間)
- 企業経営理論:16.9%
- 財務・会計:14.3%
- 運営管理:17.4%
- 経済学・経済政策:18.7%
- 経営法務:14.9%
- 経営情報システム:19.9%
- 中小企業経営・政策:16.7%
目安となる勉強時間
大手予備校や受験者による声としては、約150時間の勉強が必要と言われています。
全7科目の中でも、「企業経営理論」や「財務・会計」と並ぶ最重要科目のひとつと言われており、勉強時間を長めに確保する受験者が多いようです。
製造・販売の実務経験が無い方であれば、150時間以上の勉強が必要になることも想定されるため、多めの勉強時間を割く計画を立てておくと良いかもしれません。
参考:他の科目の目安となる勉強時間
- 企業経営理論:約150時間
- 財務・会計:約180時間
- 運営管理:約150時間
- 経済学・経済政策:約100時間
- 経営法務:約100~150時間
- 経営情報システム:約100時間
- 中小企業経営・政策:約100時間
二次試験との関連度
運営管理(オペレーション・マネジメント)の二次試験との関連度:★★★
運営管理は、二次試験の「事例Ⅲ」と直結しています。
二次試験の「事例Ⅲ」は、主に製造業を営む事例企業に対し、製造工程や管理方法についての現状を与件文から読み取り、適切な助言を記述するという内容です。
運営管理で学習するオペレーション改善に関する知識を直接的に生かすことができるため、運理管理を得意になっておくことで二次試験を有利に進められるでしょう。
運営管理(オペレーション・マネジメント)の難しさ
運営管理(オペレーション・マネジメント)の平均合格率は約17%と、難易度の高い試験となっています。
ここでは、なぜ運営管理の合格率が低いのか、難しさの原因を考察していきます。
試験の合格率を下げている原因を知り、効果的な対策を検討していきましょう。
出題範囲が広く覚えるべき知識量が多い
運営管理の難しさの1つ目は、「出題範囲が広く覚えるべき知識量が多い」ことです。
出題範囲が広いことは、一次試験の全7科目で共通している難しさですが、運営管理では特に実務に近しいオペレーションについての細かい知識が幅広く問われることが特徴的です。
具体的には、生産現場のレイアウト方法や生産性の分析方法、販売現場の在庫の仕入・管理方法など、オペレーションのあらゆるプロセスでの知識を学習します。
さらには、「ものづくり三法」や「食品リサイクル法」など、法律に基づく細かい知識を問う問題も多く、すべてを暗記しようとすればキリがありません。
限られた学習時間の中で、生産・販売に関する現場レベルでのオペレーションに関する幅広い知識を覚えなければならない点が、運営管理の難しさの理由となっています。
実務経験が無いとイメージしにくい
運営管理の難しさの2つ目には、「実務経験がないと知識のイメージがしにくく理解が進みにくい」ことが挙げられます。
運営管理で問われる生産・販売に関する知識は、現場レベルのオペレーションに即した内容となっています。
そのため、知識の内容を文面で理解しても、それらが実際に現場で活用されるイメージが湧きにくく、知識の定着・理解が進みにくいと感じるでしょう。
具体例として、過去問を紹介します。
運搬活性示数は、対象品が置かれている状態から運び出されるまでに必要な取り扱いの手間数を表したものである。この運搬活性示数を、金属部品の加工職場で調査したところ、下表に示す分析結果が得られた。表内の空欄A~Cの運搬活性示数を求め、この職場の平均活性示数の値として、最も近いものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 0.75
イ 1.00
ウ 1.25
エ 1.50
オ 1.75
「運搬活性示数」の計算方法などは、試験対策としてもちろん学習しなければなりません。
運搬活性指数は、どの工程がムダとなっているかを区別できれば計算できる暗記問題ですので、学習していれば問題を解くことはできます。
しかし、実務経験が無いと実際に工程が行われているイメージがしにくく、計算はできるけど現場のことはよくわからないという感覚になるんですよね。
私は営業職でしたので、工場など入ったことすらなかったですし、生産については全くイメージができませんでした。
この「イメージできない」状況になると、暗記してもどこか腑に落ちない感じがして勉強が捗りにくくなります。
一方で、製造現場で活躍された経験を持つ方にとっては、前提として身に付いている知識も多く、大きなアドバンテージになるはずです。
経験が無いとイメージしにくい内容により、暗記などの学習を進めにくく、他の受験生との差が付くポイントになっていることも、運営管理の難しさの原因と言えるでしょう。
計算問題の出題も多い
運営管理の難しさの3つ目は、「計算問題の出題も多い」ことです。
ただでさえ暗記しなければならない知識量が多い中で、試験本番でスピード感を持って算出する必要がある計算問題が出題されることで対策が難しくなっています。
こちらも具体例として、過去問を紹介します。
金属部品を人手で加工する作業の標準時間を計算するためのデータとして、
正味作業の観測時間: 5分/個
レイティング係数:120
内掛け法による余裕率:0.20 の値を得た。このとき、下記の設問に答えよ。
(設問1)
この作業に対する外掛け法による余裕率の値として、最も近いものはどれか。
ア 0.15
イ 0.20
ウ 0.25
エ 0.30
オ 0.35
(設問2)
この作業の標準時間として、最も近いものはどれか(単位:分/個)。
ア 6.25
イ 6.50
ウ 7.00
エ 7.50
オ 7.75
この問題は、製造現場の関するデータを用いて、「外掛け法による余裕率」と「作業の標準時間」を求める問題です。
計算方法さえ知っていれば解ける問題ですが、問題ごとに異なる単位や数値に冷静かつスピーディーに対応しなければいけません。
計算式・算出方法を求めるための知識は前提として、試験本番の緊張感・時間制限の中で正確に計算を行うためには、繰り返しの演習を積んで計算に慣れておくことが必要です。
このように、計算問題に出題が多く、試験本番で得点できるレベルまで演習を積む対策が必要になることも、運営管理の対策を難しくしている要因と言えるでしょう。
見たことがない・初見の用語も出題される
運営管理の難しさの4つ目は、「テキスト・過去問で見たことの無い、初見の問題が登場する」ことです。
他の科目でも、今まで出題歴の無かった用語が出題されることはありますが、運営管理ではこのような初見の問題が多く登場することが特徴的です。
その理由として、オペレーションを管理するシステムの進化や、生産・販売に関する法律の改定など、企業を取り巻く環境が変化しやすいことが考えられます。
具体的には、令和3年6月に「HACCP」という衛生管理手法を、すべての食品等事業者が実施しなければならないという制度が開始しました。
これに伴い、制度開始から2年後の令和5年度の試験では「HACCP」に関する問題が出題されています。
平成30年に食品衛生法が改正され、令和3年6月1日から、原則すべての食品等事業者は「HACCPに沿った衛生管理」を行うことが義務化されている。HACCPでは、その導入に対して12の手順が定められており、そのうちの7つは、7原則と呼ばれている。この7原則に含まれている手順として、最も適切なものはどれか。
ア HACCPのチーム編成
イ 製造工程一覧図の現場確認
ウ 製造工程一覧図の作成
エ 製品説明書の作成
オ モニタリング方法の設定
「HACCP」については、過去にも出題実績がありますが、令和5年度には「TPMの自主保全」や「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」など、まったく新しい内容が出題されています。
やはり、経営を行う上では、常に変化する環境に適応することが求められるものです。
中小企業診断士としても、最新の環境を知ったうえでこそ有益な助言ができるとし、試験の出題内容も変化していくのは当然かもしれません。
とはいえ、試験に合格することだけを考えれば、過去問でも見たことの無い問題に対応するのは難しく、試験本番で他の選択肢との比較検討の上で正答を導く必要があります。
このように、見たことの無い・初見の知識が問われることで対策が難しいことも、運営管理の合格率を下げている要因となっています。
- 幅広く細かい知識を効率的に暗記しなければならない
- 実務経験が無いと内容をイメージしにくく理解が進みにくい
- 計算問題の出題も多く、繰り返しの演習が必要となる
- 過去問に出題のない最新の用語も出題される
実際に試験を受けた感想
ここでは、実際に運営管理を学習・受験して感じてことをお話しします。
暗記を徹底することが重要
合格を勝ち取るために絶対に必要となるのが「暗記」です。
上述した通り、運営管理の内容は生産・販売の現場レベルのオペレーションに関する知識ですし、計算問題の出題もあります。
実務経験がなければ、知識を暗記しても活用するイメージが湧きにくいことも多くあるでしょう。
しかし、活用のイメージができなくても、知識や計算式を暗記していれば問題を解くことはできます。
運営管理で出題される問題の選択肢そこまで複雑な文章ではなく、「知識を知っているか」を問う問題が多い印象があります。
学習を進める中で、とにかく知識・計算式を暗記することに全力を注ぐことが重要だと感じています。
知らない用語と出会った時に
実際に試験を受けて、知らない問題が出題されたときにも焦らずに得点できる問題を確実に得点する姿勢が重要だと感じました。
私が受験したときには、運営管理は全く手ごたえが無く60点を上回る可能性は低いと考えていました。
その最大の理由としては、知らない用語がたくさん出てきたことで自信を持って解答できた問題が少なかったことが考えられます。
しかし蓋を開けてみると、私の本番での得点は67点であり、頻出問題を確実に得点できたことで合格点を取ることができています。
特に運営管理は、難化傾向にあり最新の用語が出てきやすい科目ですが、毎年問われる重要な論点は変わっておらず、重要論点さえ得点できれば合格水準には十分到達できる試験です。
見たことのない用語と出会ったときに焦るのではなく、取るべき問題を確実に正答できるように、頻出論点の徹底的な学習を進めることが重要です。
運営管理の合格のポイント
ここまで、運営管理(オペレーション・マネジメント)の試験概要、難しさの理由と私が受験して感じたことをお話ししました。
それらを踏まえて、運営管理で最短合格を勝ち取るために学習で意識すべきポイントをお話しします。
ポイントは、「頻出論点に絞った徹底的な暗記を進めること」です。
重要論点の暗記を徹底的に行う
学習の中で最も意識すべきは、「重要論点を完璧に暗記する」ことです。
運営管理を攻略する大枠の戦略として、「頻出論点を確実に得点して6割越えを目指す」戦略が最も効率的です。
中小企業診断士の一次試験は、各科目で6割を取ることができれば合格です。
そして、運営管理では、いわゆる「落としてはいけない・取るべき問題」だけを確実に得点できれば6割近い得点を取ることができる試験になっています。
取るべき問題については、TAC出版が公開している受験者の正答率が参考になります。
(正答率80%以上) | A(60%以上80%未満) | B(40%以上60%未満) | C(20%以上40%未満) | D(正答率20%以下) | E
11(25%) | 15(34.1%) | 10(22.7%) | 7(15.9%) | 1(2.3%) |
この分類では、受験者の正答率に応じて、「A」~「E」までの5段階で問題の難易度を分類しています。
このとき、「A」や「B」は落としてはいけない問題、「C」は差が付く問題、「D」や「E」はみんなが正解できない問題と言えます。
そして運営管理の問題の正答率分布を見ると、「A」と「B」の問題さえ確実に得点できれば、それだけで正答率は59.1%となります。
見たことの無い用語が出題されたとしても、それらは「D」や「E」に該当すると考えられるため、正答できなくても合格水準には到達できることが分かります。
つまり、テキストに記載のある内容や、過去問での出題実績のある重要論点だけに絞って暗記を進めることが、最も効率的に合格を勝ち取ることのできる戦略だと考えることができます。
初見の問題を対策しようとし、他の科目の学習がおろそかになってしまっては元も子もありません。
難しい問題や始めて見る問題に時間をかけず、重要論点を確実に得点する戦略で効率的に学習を進めましょう。
イメージが湧かないときは調べてみる
用語の活用イメージが湧かないときは、「ネットを使って画像や図解を調べてみる」ことが有効です。
運営管理の戦略の大枠は、「重要論点に絞った暗記を進めること」です。
運営管理の問題は、知識を知っているか否かを問う問題が多いため、活用場面のイメージができなくても問題は解くことができます。
しかし、用語を文面だけで覚えることと、画像や図解を併せてイメージしながら暗記することとでは、物事を覚えるスピードに大きな差が出るでしょう。
例えば、生産を行う機械の一種である「マシニングセンタのATC」という言葉を学習したとき、初学者だと全くイメージできませんよね。
こんな時、スキマ時間などにネットで画像を検索してみましょう。
↑マシニングセンタのATC
なんとなく、「いくつかの器具が付いていて、それらを自動で交換して生産できる機械」という内容が理解しやすいはずです。
あくまで、用語の暗記ができていれば、試験対策としては問題はありません。
しかし、暗記の効率を高めることや知識の理解度を深めるためにも、知識+画像をセットで暗記することで、学習をスムーズに進めることができるでしょう。
計算問題は繰り返し演習する
計算問題の対策としては、「まずは計算式を暗記し、あとは何度も演習を繰り返し定着を図る」ことがオススメです。
運営管理では、「経済的発注量」や「標準時間・余裕率」など、様々な計算式を暗記しなければなりません。
大前提として、これらの計算式・解法については知識として理解しておきましょう。
しかし、近年の運営管理の出題傾向を見てみると、この計算式に基づいて形を変形・単位を調整したりと、応用することが求められる問題も多くなっています。
このような応用問題を解くためには、計算式の暗記だけでなく、使いこなせるようになるまで演習を繰り返す必要があります。
問題集や過去問から苦手な問題をピックアップし、計算問題だけは何度も繰り返し演習を行うことで慣れていきましょう。
- 重要論点の暗記を徹底的に行い、取るべき問題を確実に正解する
- イメージが湧かないときは画像を調べて暗記の効率を高める
- 計算問題は繰り返し演習をして定着を図る
実際に実践した勉強法
ここまで、運営管理の難しさと、それらを克服するために学習のポイントをお話ししました。
最後に、実際に私が実践していた学習の進め方・勉強方法を紹介します。
まずは、テキストを使って知識・計算式を暗記します。
何度もお話ししている通り、運営管理の学習を進めるうえで最も重要なのは、「重要論点の暗記」を完璧に行うことです。
そのため、テキストに記載のある内容については、時間をかけてしっかりとインプットします。
私自身、生産・販売に関する前提知識は一切なかったため、イメージが湧かなくても画像を調べたりしながら、とりあえず重要な知識の暗記を進めることに注力します。
テキスト選びについては、私はTAC出版の「スピードテキスト」を使用していました。
やはり過去問出版社の中でも評価が高く、出版社独自の過去問分析が秀逸です。
覚えるべき知識や計算式が明確に分類されていますし、最新の出題を踏まえたうえで出題される可能性の高い内容をしっかりと押さえており、この一冊を完璧にマスターすることに集中した学習ができます。
また、具体的な暗記の進め方として、暗記アプリである「フラッシュカード」を使っていました。
自分好みの形式や内容で暗記カードを作成できるアプリです。ちょっとしたスキマ時間に暗記を進めることができますい、問題を自分で作りプロセスでも記憶定着が進むためオススメです。
ある程度のインプットが進んだら、問題集を使ってアウトプットを行います。
私は、1科目(1章)の暗記が進んだタイミングで問題集を解いていました。
知識の定着度を確認することはもちろん、試験でどのような形で問われるのかを早い段階で知っておくことで、知識をより実践的なものに昇華することができます。
また、問題集を解く中で間違えた問題・苦手な問題についてはマークしておき、定期的に復習ができるような環境を作っておきましょう。
私は、TAC出版からテキストに合わせて出版されている、「スピード問題集」を使用していました。
単元ごとに漏れなく内容が掲載されていますし、過去問を中心とした実戦的な問題と丁寧な解説が付されており、知識をさらに定着させながらアウトプットを進めることができるためオススメです。
最後は、ここまで学習してきた知識で過去問を解き進めます。
私は7科目すべての学習(テキスト+問題集)までが終わったタイミングで解き始めました。
1つの科目のインプットが終わったタイミングで過去問を解いて合格点が取れたとしても、他の科目の学習が終わったときにも解けるとは限りません。
全ての科目の学習が終わったときに、本番と同様に、全7科目分を本番形式で一気に解く方が過去問を有益に使うことができるはずです。
タイマーで60分しっかりと測ってマークシートも用意し、なるべく実践に近しい形で解いていきます。
また、間違えた問題や悩んだ問題はチェックしておき、内容を書き出した「まとめノート」を作成しておくことで復習にも活用していました。
解く年度数については、過去5年分を何回も繰り返し演習しましょう。昔の問題まで触れておくより、直近の出題傾向を完璧にしておきましょう。
過去問についても、TAC出版の「第1次試験過去問題集」を使用していました。
過去5年分の問題と解説が掲載されており、解説も非常に詳細でわかりやすいものになっています。
以上が、私が実践していた勉強方法になります。
大まかな流れとしては、①テキストでインプット→②すぐに問題集でアウトプット→③過去問演習 です。
とにかく、運営管理の学習で重要なのは、「重要論点の暗記」です。
重要論点だけを完璧にして60点超えを目指し、テキストの内容に集中すること、問題集や過去問を活用した計算問題の克服を効率的に進めていきましょう。
まとめ
当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、中小企業診断士・一次試験を最短で合格するために、「運営管理(オペレーション・マネジメント)」について、科目の概要から難しさの理由、合格のポイントと具体的な勉強方法を解説しました。
記事でもお話しした通り、運営管理は、生産・販売に関する現場レベルの知識が問われ、イメージがしにくい膨大な知識量をいかに攻略するかがポイントです。
そして、最短合格を目指す上では、「重要論点の暗記」に注力することで勉強の効率を高めることが効果的です。
苦手とする受験生が多く、合格率の低い運営管理だからこそ、試験の特徴に基づいた効果的な学習法が大切です。
中小企業診断士の合格を目指す方々にとって、少しでも学習を進めるうえでの参考になれば幸いです。
他にも、中小企業診断士に関する記事を発信していますので、お時間にある際に是非チェックしてみてくださいね。
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