【中小企業診断士】二次試験に落ちた私が、試験をやり直せるなら準備したいこと

中小企業診断士は、日本で唯一の経営コンサルティングに関する国家資格であり、難関資格のひとつです。

経営に関するあらゆる知識が試験範囲となっており、一次試験から二次試験まで、膨大な量の試験内容を効率よく学習しなければなりません。

中でも二次試験は、筆記試験でありながら模範解答が公開されないため、何をどのように学習を進めるべきかわからない抽象度の高い試験であり、非常に高い難易度となっています。

実際、私も2023年度に中小企業診断士試験を受験しましたが、一次試験は全科目を合格できた一方で、二次試験は残念ながら合格することはできませんでした。

この記事では、私が受験を通して感じた「ストレート合格の難しさ」と「二次試験をやり直せるなら準備したいこと」についてお話しします。

私が学習を進める中で、一次試験はマークシート形式で明確な正解があったため、テキスト・参考書の学習で得点を伸ばせた一方で、二次試験は勉強量を割いても点数が伸びにくいと感じていました。

これから二次試験に挑戦する方が、学習を進めるうえで意識してほしいこと、勉強の進め方についてお話しますので、ぜひ読んでみていただきたいです。

この記事でわかること
  • 私の受験結果(点数)と科目ごとの総勉強時間
  • 私が診断士試験を受験をして感じた「ストレート合格の難しさ」
  • 私がもう一度二次試験を受けるならこうする、ストレート合格のポイント
目次

私の受験結果


まずはじめに、私の中小企業診断士試験の受験結果をお話しします。

勉強時間や得点をすべて公開するので、学習計画を立てる際の参考にいただければ幸いです。

点数・結果

令和5年度に受験した、私の受験結果を公開します。

一次試験

  • 経済学・経済政策:68点
  • 財務・会計:56点
  • 企業経営理論:79点
  • 運営管理(オペレーション・マネジメント):67点
  • 経営法務:84点
  • 経営情報システム:68点
  • 中小企業経営・政策:80点

    合計:502点(得点率71.7%)

一次試験については、合計420点で合格のところ502点を取ることができました。

財務・会計だけあと1問正解できていれば60点だったのですが、他の科目はすべて6割以上の得点率を取ることができました。

令和5年度は、苦手だった経営法務が比較的簡単だったこともあり高得点を取ることができました。また、中小企業経営・政策は「中小企業白書」を一通り目を通しておいたことで得点できた問題が多かったので、スキマ時間などに読んでみることをオススメします。

二次試験

  • 事例Ⅰ:52点
  • 事例Ⅱ:58点
  • 事例Ⅲ:52点
  • 事例Ⅳ:72点

    合計:234点(得点率58.5%)

二次試験は残念ながら不合格でした。

240点で合格ですので、事例Ⅰ・Ⅲでもう少し点数を稼げていれば合格できたと思うと悔しいですが、完全に実力不足だったと感じています。

勉強時間の内訳

次に、それぞれの科目にどのくらいの勉強時間を充てたのかをお話しします。

ちなみに「Studyplus」という勉強時間を記録するアプリを使っていました。手軽に記録できるのでオススメです。

一次試験

  • 経済学・経済政策:155時間
  • 財務・会計:174時間
  • 企業経営理論:224時間
  • 運営管理(オペレーション・マネジメント):207時間
  • 経営法務:229時間
  • 経営情報システム:172時間
  • 中小企業経営・政策:152時間

    合計:1,313時間

2022年の10月から2023年の8月頭までで、約1,300時間勉強しました。

月当たり120時間くらいの勉強を継続していたため、習慣化されるまではかなり大変でした。

改めて計算してみると、一次試験に時間をかけすぎたと感じています。

サラリーマンとして働きながら勉強していましたので、仕事終わりと休日はすべて勉強に充てて時間を捻出していましたが、一次試験はここまで時間をかけなくても合格できたと感じています。

勉強の成果は「時間×質」です。「月に○○時間勉強する!」などの目標の立て方も重要ですが、集中力が維持できて質が高い勉強時間を確保するようにしましょう。

二次試験

  • 事例Ⅰ:84時間
  • 事例Ⅱ:70時間
  • 事例Ⅲ:64時間
  • 事例Ⅳ:157時間

    合計:375時間

二次試験については、一次試験が終わってからの約3か月間のみ勉強しました。

結果論ですが、やはり一次試験にかなりの時間を割いていた分を、二次試験に充てればよかったと後悔しています。

事例Ⅳに時間を割いて高得点を狙う作戦だったのですが、他の事例を補えるほどの高得点は取れませんでした。

一次試験が終わって一息つきたいところですが、そんな暇はありませんでした…想像以上に時間が無いものだと思っておくといいかもしれません。

受験して感じた「二次試験の難しさ」

ここでは、私が二次試験に落ちた原因を考察してみます。

実際に受験したからこそわかる難しさを踏まえて、対策の参考してください。

試験の抽象度が高い

中小企業診断士の二次試験は、事例ⅠからⅣまで全て記述形式です。

一次試験は絶対的な正解があるマークシート形式ですので、どこが間違っているのかや過去問で何点取れているのかをすべて明確に把握することができます。

しかし、二次試験は自由に記述できる形式でありながら、正式の解答が公開されないため、どの文言・文章が点に繋がっているのかを知る手段がありません。

具体例として、去年の二次試験の問題を見てみましょう。

令和5年度 事例Ⅱ 第2問

低学年から野球を始めた子どもは、成長やより良い用品への願望によって、ユニフォーム、バット、グラブ、スパイクといった野球用品を何度か買い替えることになるため、金銭的負担を減らしたいという保護者のニーズが存在する。
B社は、こうしたニーズにどのような販売方法で対応すべきか、プライシングの新しい流れを考慮して、100字以内で助言せよ(ただし、割賦販売による取得は除く)。
中小企業診断士試験問題 (j-smeca.jp)

それぞれの事例に登場する企業の状況と市場環境・ニーズに対して、一次試験で学習した知識を中心に解答を記述します。

しかし、ニーズに応える販売方法はいろいろな手段がある中で、どのような解答が高得点に繋がるのかは分かりません。

ちなみにこの問題では、「サブスクリプション」での販売方法を提案することが正解なのでは?と言われているようです。

このように、二次試験は抽象度が高い分、具体的な対策や計画を立てて学習を進めても成長したことを確認できず、よくわからないままひたすら解答を書くことが対策となってしまうのです。

解答の自己採点ができない

筆記試験の模範解答が公開されないことのよる最大の弊害は、「解答の自己採点ができない」ことです。

抽象度が高い文章問題に対して、なんとなくのそれっぽい文章をひたすら書き続けていても、書く文章が得点につながるようにレベルアップしていかなければ意味がありませんよね。

しかし、誰も得点に繋がる解答を知らず、自分の書いた解答を採点することができないため、書けているのかもどこを直すべきなのかもわかりません。

唯一開示されているのが、「出題の趣旨について」です。

令和5年度 事例Ⅱ 第2問の出題の趣旨

顧客のニーズに対応した販売方法について、プライシングの観点からB社に助言する能力を問う問題である。
令和5年度中小企業診断士第2次試験の出題の趣旨について (j-smeca.jp)

これだけの文章では、解答の方向性は決められても、具体的に何を書くべきかを読み取ることは難しいです。


このような試験に対応するために、得点化できる参考書として「ふぞろいシリーズ」を活用することはもちろんオススメなのですが、文章問題である以上、文章のつながりや可読性など、キーワードのみでは判断できない要素も含まれると考えられます。

正解を知っている人はいないため条件は同じですが、合格経験やノウハウを持っている人からの添削を受けなければ安定した点数を取れるようになりにくいでしょう。

試験本番までの時間が短い

中小企業診断士試験は、一次試験が8月頭に行われ、二次試験が10月の終わりに実施されます。

そのため、一次試験が終わって最速で自己採点をして合格を確信できた場合でも、二次試験の本番まで約2か月半しかありません。

一次試験で7科目分のインプットをし、やっとの思いで一次試験を終えても、休む間もなく二次の勉強を開始する必要しなければなりません。

二次試験は、一次試験に比べれば科目数も少なく、インプットしなければならない知識もそこまで多くはありません。

しかし、約2か月半ほどで二次試験で記述できるように知識を整理するには時間がかかるでしょう。

また、事例を1つ解こうとすると1時間くらいはまとまった時間を確保できなければ記述までできないため、スキマ時間を活用した勉強も難しいです。

同じ知識でも一次試験と問われ方が異なる

中小企業診断士試験においては、一次試験と二次試験が事例ごとにリンクしており、学習するべき内容は大きく変わりません。

しかし、マークシート形式の一次試験とは違い、二次試験では知識を使って助言を書くことが求められます。

一次試験の内容を違う角度から、深く理解しなおすためのインプットも、いい文章を書くために欠かせません。

一次試験の結果が良かったとしても、慢心せずに改めてインプットを大切にする姿勢が大切です。

受験して感じた「二次試験の難しさ」
  • 記述・筆記形式であり、問題の抽象度が高い。
  • 解答が開示されないため、自分の書いている文章が正しいか判断できない。
  • 一次試験が終わってから二次試験の本番までは約2か月半しかない。
  • 同じ知識でも、一次試験と二次試験では問われ方が異なる。

ストレートで二次試験まで合格するために

これから二次試験を受験する方々に、「私がもう一度受験するならこう対策する」という視点で、ストレート合格を勝ち取るためにポイントをお話しします。

一次試験の本番前から、二次試験を意識して勉強する

まず一番にお伝えしたいのが、「二次試験の勉強にも時間を割いてほしい」ということです。

私が受験したときは、「目の前の一次試験に受からなければ二次試験は受けることすらできない」や「過去問は安定してきたけどまだ不安」などと感じていて、一次試験が終わるまでは二次試験の内容に触れてきませんでした。

確かに、一次試験が終わってすらないのに二次試験の勉強をすると、仮に一次に落ちた時に「あの時間を一次試験の苦手科目に充てればよかった」と思うかもしれません。

しかし、私の所感ですが「過去問で安定した点が取れているなら、一次試験はそれ以上高得点を狙わなくて大丈夫」です。

いくら一次試験で高得点を取っても、二次試験で優遇されるわけではありません。

もちろんこれから一次試験を受ける手前に、二次試験の勉強をすることは不安だし怖いのは重々承知です。しかし、ある程度過去問で安定した点数が取れるようになったら、思い切って二次試験の勉強を始めてしまってください。

二次試験の対策を早い段階から着手するのであれば、「事例Ⅳの計算問題」をお勧めします。

事例Ⅳは二次試験の中でも、計算問題が出題されるため唯一正しい答えが分かる科目です。さらに、財務会計の内容をより深く理解することに直結します。

とにかく、「二次試験の対策は早いうちから始めておく」こと、そして「事例Ⅳの計算問題を優先して学習する」ことを強くオススメします。

色々な人に解答を読んでもらう

抽象度の高い文章問題だからこそ、多くの人に書いた解答を読んでもらいましょう。

私は、とにかく過去問を繰り返し書きまくって「ふぞろい」を確認して採点していました。

得点につながるキーワードを理解して、定型化した文章に当てはめる作戦でした。

しかし、自分だけで繰り返し文章を書いていると、特有の「文章のクセ」が出てきたり、どの問題を解いても同じような構成の文章になりがちです。

語尾に似たような文言をくり返し使っていたり、読みにくい構造になっていたりと、自分が書いた文章だと気づけないクセがあるかもしれません。どんな文章問題でも「読みやすさ」や「論理性」は重要です。

そのような、自分だけで文章を書いていると気づけないクセや特徴を知るために、いろいろな人に文章を読んでもらうことが有効です。

中小企業診断士試験に触れたことがある方がいればベストですが、身近な友人や家族に読んでもらっても客観的な意見は聞くことも効果的です。

多くの参考書に手を出さない

どんな勉強でも同じですが、色々な参考書に手を出さないようにしましょう。

二次試験の参考書には、過去問の解説から知識のインプット用、さらには解き方の手法を解説するものなど、様々な切り口から多くの参考書が発売されています。

しかし、過去問の解答例を見てみると、それぞれの参考書で解答が異なっています。

もちろん解答が公開されない試験であるため仕方がないですが、色々な解答を見ていると、もはや何が正しいのかますます分からなくなってきます。

そのため、二次試験の学習を進めるときは、信じると決めた一冊の解法を完璧にマスターすることを意識しましょう。

二次試験は答えが無いため、自分である程度「決めつけ」を行う必要があります。自分が信じた解き方を完璧にマスターすることを意識して学習を進めていくことが重要です。

どの参考書も診断士試験を研究し尽くしたうえで考案されたものですので、内容の充実度・質は高いです。その中でも、自分に合ったものを直感で選んで極めることが重要です。

もし悩んでしまって決められないのであれば、「ふぞろい」の最新版やデータブックにしましょう。

二次試験だけ予備校・通信講座を使う

もしもう一度二次試験をやり直せるなら、二次試験だけ予備校・通信講座を使います。

私は一次試験から二次試験まで、絶対に独学で合格すると決めて勉強をしていました。

しかし、二次試験だけはノウハウを教えてくれる人や添削をしてくれる人がいないと、自分が正しい方向に進めているのかわからないままです。

一次試験に関しては、しっかりPDCAを回しながら勉強ができていれば独学でも十分に戦えます。しかし、二次試験だけはモヤモヤが晴れないまま勉強することになるため、予備校・通信講座を使うことで得点率はもちろんモチベーションの維持にも繋がるでしょう。

もちろん予備校や通信講座を使うとなると、それなりの費用が掛かってしまいます。

しかし、せっかく多くの時間と労力をかけるなら、それらが無駄にならないように確実に合格に近づける手段を用いる価値はあると感じています。

ストレートで二次試験まで合格するために
  • 事例Ⅳを中心に、一次試験の前から二次試験の勉強に早くから着手する。
  • 書いた解答をいろいろな人に読んでもらい、自分の文章のクセを知る。
  • 多くの参考書に手を出さず、自分が信じた一冊を極めることを意識する。
  • 二次試験だけ通信講座や予備校を活用する。

まとめ

当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今回は、実際に中小企業診断士試験を受験して、二次試験で落ちてしまった経験から、受験を通して感じた二次試験の難しさから、試験を攻略するためのポイントについてお話ししました。

記事の中でもお話ししました通り、中小企業診断士試験は、一次試験ももちろん難しいのですが、相対評価である二次試験はさらに難易度が高くなっています。

仕事や家事と両立しながら、忙しい中で日々勉強をしているからこそ、時間を効率的に使わなければなりません。

記事を読んでくださっている方が私と同じ悔しい思いをしないように、今回お話ししたポイントを参考にしながら学習を進めていただき、私の分まで合格を勝ち取ってきていただければ幸いです。

他にも中小企業診断士試験を最短で合格するために役立つ記事を発信していますので、ぜひチェックしてみてください。

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